緊急事態宣言なしのGW 円安の影響は

人々が行きかう大阪の観光地・通天閣=21日午前、大阪市浪速区(門井聡撮影)
人々が行きかう大阪の観光地・通天閣=21日午前、大阪市浪速区(門井聡撮影)

新型コロナウイルスの感染拡大以降、3回目のゴールデンウイーク(GW)が間もなくやってくる。今年は緊急事態宣言が発令されている地域はなく、円安で海外旅行を控える傾向も手伝い、国内旅行客は増える見込みだ。一方で海外からの入国制限は続き、円安による外国人観光客増という「恩恵」には預かれない。観光地にとっては、複雑な状況といえそうだ。

回復の弾みに

「緊急事態宣言のない初めての大型連休。昨年よりも予約は好調なので、期待したい」。京都府旅館ホテル生活衛生同業組合の理事長を務める老舗旅館「綿善旅館」(京都市中京区)の小野善三会長(70)は、声を弾ませる。

令和2年春から始まったコロナ禍をめぐっては、同年4~5月に全国で緊急事態宣言が発令。昨年のGW期間中も4都府県で緊急事態宣言、7県で蔓延(まんえん)防止等重点措置が出されていたが、今年は現時点で宣言が発令されている地域はなく、重点措置も3月中に全面解除された。

大阪の観光名所・通天閣(大阪市浪速区)では、GW期間中の周辺ホテルの予約数が昨年同時期と比べ1・5倍に増えた。運営会社「通天閣観光」の高井隆光社長によると、重点措置が解除された3月以降、若者を中心に客足が3割まで回復。「大型連休を弾みにコロナ前の半分まで客足を戻したい」と期待を寄せる。

旅行大手JTBが行った4月25日~5月5日の旅行動向調査では、国内旅行者は推計で1600万人(前年同期比168・4%)となる見通し。担当者は「近隣を中心とした旅行から、遠方にシフトしている」と分析する。

コロナ禍で海外旅行に対する抵抗感も根強い中、今月20日には東京外国為替市場で約20年ぶりに一時1ドル=129円台にまで下落。加速する円安も「海外旅行離れ」に拍車をかけているとみられ、綿善旅館の小野会長は「円安は、日本人にとっては『海外旅行は高い』と感じる要因にもなる。国内旅行の機運醸成につながっているのではないか」と話した。

恩恵なく

一方で、円安は平時なら海外からの客を呼び込む「呼び水」となる。ただ、感染拡大防止を目的とした入国制限は緩和されてきてはいるものの、観光分野では今も続いている。

外国人観光客に人気の東京・浅草で旅館を営む男性は「正直、予約状況は芳しくない。観光目的の入国制限を緩和し、海外からの観光客に戻ってきてほしい思いはある」と打ち明ける。

浅草観光連盟の冨士滋美会長(73)は「入国制限は緩和してほしいが、外国人はマスクに対する感覚など感染対策への文化の違いもあるので、急激な緩和は怖くもある」と複雑な心境を明かし、「これまで少なかった若い世代の日本人観光客が増えている。浅草はコロナ対策への意識が高いので、安心して足を運んでほしい」と呼びかけた。(永井大輔、中井芳野)

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