主張

ウクライナ避難民 入管制度の改革が必要だ

ウクライナからの避難民を乗せ、羽田空港に到着した政府専用機=5日午前11時47分
ウクライナからの避難民を乗せ、羽田空港に到着した政府専用機=5日午前11時47分

ロシアによる、ウクライナへの残虐な侵略が止まらない。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、住む家を失い、あるいは生命の危険を避けて国外に避難した人は約500万人に上った。

日本も人道的観点からウクライナからの「避難民」を手厚く受け入れる方針で対策を進めているが、あくまで特例措置である。

日本が入管難民法で順守してきた国連の「難民条約」は、人種や宗教、国籍、政治的意見などを理由に迫害を受ける恐れがあり、母国から逃れた人を「難民」と定義している。国家間の戦争で退避した人は、これに当たらない。このため、「難民」ではなく、特例の「避難民」として受け入れているのが実情だ。

制度改革が間に合わない現状で緊急避難措置として柔軟に対処する必要性は十分に理解できる。ただしこうした超法規的な状況は、法改正による制度改革で解消するのが本来の道筋である。

もともと日本の難民認定は厳格な運用で知られていた。欧米各国に比して認定者数は極端に少なく抑えられ、海外から批判の声もあがっていた。

各国には、難民の受け入れを柔軟に可能とする「補完的保護対象者」を認定する制度がある。日本でも政府が昨年、国会に提出した改正入管難民法案には、この制度の新設が盛り込まれていた。施行されていれば、ウクライナからの避難民はこの「保護対象」として認定された可能性が高い。

制度の新設は、UNHCRが難民認定の範囲拡大を呼びかけていたことに加え、懸念される台湾有事、朝鮮半島有事をにらんだ法整備の一環でもあった。

法改正が頓挫したのは、名古屋市の出入国在留管理局に収容中だったスリランカ人女性が死亡し、真相の究明をめぐって国会が紛糾したためだ。その後の出入国在留管理庁の調査報告書で、名古屋入管局の医療体制や、組織上の体制の不備も明らかになった。

入管庁は、この問題を深く反省し、改めるべきを改めるのが先決だ。そのうえで、必要な法改正を急ぐべきである。

政府は法案の再提出を目指しているという。深刻なウクライナ避難民対策であることはもちろん、日本の人道主義を貫徹するためにも不可欠な法改正である。

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