春ドラマ座談会

一気見のネット意識、目立つ「速い展開」

「ナンバMG5」(フジ)の主人公、難破剛(左、間宮祥太朗)は最強のヤンキーだが、高校では優等生として生活する
「ナンバMG5」(フジ)の主人公、難破剛(左、間宮祥太朗)は最強のヤンキーだが、高校では優等生として生活する

テレビ各局の4月期の連続ドラマが続々と始まっている。新たなドラマ枠を設けたり、若年層をターゲットに深夜ドラマを強化したりした局がある一方、人気シリーズをそろえる局もあり、各局の戦略がうかがえる編成となっている。スタートを切った話題作、注目作をメディア担当記者たちが総括する。

テンポ良く

A フジテレビの「ナンバMG5(エムジーファイブ)」は、若年層をターゲットとする新ドラマ枠「水曜夜10時」のトップバッターの重責を担う作品だ。「踊る大捜査線」の本広(もとひろ)克行が演出を務めるあたり、フジの本気が感じられるね。ヤンキーがまじめな高校生を演じるというギャップのあるストーリーが楽しい。

B TBSの日曜劇場「マイファミリー」と、フジの月9ドラマ「元彼の遺言状」をはじめ、定番のドラマ枠の作品も存在感を示していますよ。前節はフジの「ミステリと言う勿(なか)れ」が話題を集めたけど、両作品もミステリー仕立てです。

C いずれもテンポがよく、ネット配信時代ならではの変化が感じられたね。特に「マイファミリー」は、1話で完結するのでは…と思うほど展開が速かった。一気見が主流の配信を意識して、次も見てもらうため「速い展開+ミステリー仕立て」が潮流になっているのかも。

A 「マイファミリー」の題材はミステリーでは定番の誘拐事件だが、テンポに加え、スマホを使った仕掛けなどが目新しかった。事件のインパクトに頼らない意外なタイトルは、制作側の思いや自信を感じさせる。

C 「元彼の遺言状」は、早々に遺言状の「謎」が提示されて期待が高まった。やり手弁護士役の綾瀬はるかの存在感はさすが。

D この2本の世帯視聴率(初回)はいずれも12%超え。視聴率的にはやっぱり、定番枠が相対的に高かった。

A 深夜帯の世帯視聴率は低いけれど、今では見逃し番組配信サービスの視聴者も多い。そのあたりを考慮しないと、本当の人気は見えてこないよ。

深夜のグルメ

D では、その深夜ドラマの話をしようか。テレビ東京の「しろめし修行僧」は人情劇で面白かった。マドンナが毎回登場するようだけど、映画「男はつらいよ」を意識しているのかな。

B 主人公がおかずの乗った白飯を食べる様子は本当においしそう。「孤独のグルメ」の系譜を引き継いでいるようです。テレ東は「アニメ・グルメ・ドラマ多メ」が今回の改編のテーマとはいえ、おなかがすくので、深夜にはやめてもらいたい(笑)。

C テレ東では、秋元康が企画・原作の「吉祥寺ルーザーズ」も印象に残った。癖のある登場人物、謎がちりばめられた物語には、次回も見たくなる引力があるね。

「いま」意識

A 夜間帯の作品に戻ると、テレビ朝日の「特捜9 season5」「警視庁・捜査一課長season6」も固定ファンを裏切らない安定感、安心感がある。

D 全年齢層がターゲットというテレ朝らしく、他にも木村拓哉が〝元天才ボクサー〟を演じる「未来への10カウント」などの注目作がある。TBSでは、高橋一生が刑事役の「インビジブル」も話題だ。

B 「ナンバMG5」と同時間帯で対決する日本テレビの「悪女(わる)」もよかったです。平成にもドラマ化された作品ですが、今回の「令和版」では「コロナ年入社組」が登場するなど「いま」を取り入れていて興味深いです。

A 同じ日テレでは、23日に始まる「パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~」も気になる。「自我を持つAI(人工知能)ロボット」をはじめ、SF小説や漫画ではおなじみの設定が刑事ドラマに登場するんだって。

D 今後も春ドラマに期待大だね。

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