泥沼化しているウクライナ戦争は、わが国の安全保障情勢にも大きな影を落とす。とりわけ、台湾有事への懸念は、覇権主義を突き進む中国の出方一つで現実に変わる恐れもある。きょうのウクライナは明日の台湾―。この言葉の現実味はいかほどか。
揺らぐ米軍への信頼
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから1カ月後、台湾の民間シンクタンク「台湾民意基金会」が発表した世論調査で、米軍への信頼が大きく低下している実態が明らかになった。
「もし中国が台湾に武力侵攻した場合、米軍は参戦すると思うか」との問いに対し、「思う」と回答したのは34・5%にとどまり、昨年10月の前回調査と比べ、30・5ポイントも急落した。また、台湾だけでは中国の侵攻を防げないと考える人は78%に上り、米軍の直接介入に悲観論が広がる一方、台湾独自の防衛力には限界があることを再認識する結果となった。