止まらぬ円安、財界からも危惧の声

日本商工会議所の三村明夫会頭
日本商工会議所の三村明夫会頭

外国為替市場で円安ドル高が急速に進む中、業績や経済への悪影響を懸念する経営トップの意見表明が相次いでいる。行き過ぎた円安は、ロシアのウクライナ侵攻などで高騰する資源やエネルギーの輸入価格をさらに押し上げ、企業の原燃料コストを圧迫する。日本経済全体への悪影響や、先を読みづらくする急激な為替変動も懸念材料で、輸出増の恩恵を受けるはずの製造業からも悲観的な声が聞かれる。

「中小企業にとって悪い方向に働いている」

日本商工会議所の三村明夫会頭は、21日の定例記者会見で円安の影響を問われてそう述べた。

日商が先ごろ全国の中小企業などを対象に実施した調査の暫定結果によると、円安が経営にとって好ましいと答えた企業が数%にとどまったのに対し、好ましくないと答えた企業は53%を超えたという。三村氏は政府に対し「影響についてはっきりした分析を行い、好ましくないなら政策的にどういう手続きでやるかを考えてほしい」と訴えた。

円安を懸念する最大の理由は原燃料の高騰だ。カジュアル衣料「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、日本企業が海外から原材料を輸入し、付加価値をつけて販売していることを挙げ、「自国通貨が安く評価されるのはプラスにならない」と主張。日本製紙連合会の野沢徹会長(日本製紙社長)も「原燃料価格がものすごく高騰している。本当にきつい」と述べ、経営への打撃は避けられないとの認識を示す。

製紙業界は原燃料の大半を輸入に頼っており、もともと円高よりも円安の方が打撃となりやすい傾向がある。しかし、今回は輸出増のメリットが上回る他の製造業からも悲観的な声が聞かれる。それほど原燃料高騰は深刻なほか、上昇分の価格転嫁が最終製品にまで及んだとしても、家計が圧迫されて消費がしぼめば負の影響を受けざるを得ないからだ。産業空洞化や現地生産化の進展で、以前ほど輸出増は見込めなくなっているとの見方もあり、日本鉄鋼連盟の橋本英二会長(日本製鉄社長)は「日本の製造業にとって(円高ならぬ)円安リスクは初めてだ」と指摘する。

輸出企業の業績改善による賃金引き上げ(賃上げ)といったプラス面を挙げ、「金融政策をいじって為替をどうこうするという議論は時期尚早だ」とする経団連の十倉(とくら)雅和会長も、「急激な為替変動はよくない」と安定的な推移を望む。(井田通人)

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