ロシアのウクライナ侵攻で国を追われた避難民の存在がクローズアップされている。難民問題に「後ろ向き」とさえ揶揄(やゆ)された日本だが、400万人超のウクライナの人々が周辺国に押し寄せる中、岸田文雄政権は積極対応に転換した。法整備などに課題はあるが、国際社会からの尊敬と友情を獲得するチャンスでもある。
「本当にありがとう」。5日午前、羽田空港に降り立ったウクライナの避難民らはホッとした様子で感謝の思いを伝えたという。この日、避難民が搭乗した政府専用機はロシア侵攻の戦火を逃れ、ウクライナから周辺国に避難した人々を日本へ迎え入れる第一便となった。
政府は当初、親族や知人が日本にいて、日本への避難を申請したときのみ対応を検討するというこれまでの指針を堅持する消極的な姿勢だった。だが、激しい戦闘とともにロシア軍の残虐非道な行為が明らかになり、無数のウクライナ避難民が国外へ脱出。「周辺国の混乱も極めて深刻」(政府高官)で、政府の対応は一変した。首相は3月2日、積極受け入れを表明し、入国審査の柔軟運用とスピード化が始まった。