主張

第4のワクチン 安定供給体制に万全期せ

米ノババックス製の新型コロナワクチン(ロイター)
米ノババックス製の新型コロナワクチン(ロイター)

米ノババックス社が開発した新型コロナウイルスワクチンが厚生労働省に承認された。

武田薬品工業が技術移管を受け、日本国内で製造と流通を行う。

政府はすでに、年内に1億5千万回分の供給を受ける契約を武田薬品との間で締結した。

米ファイザー、モデルナ両社と、英アストラゼネカ社に続く4番目のワクチンだ。開発は米企業によるが、「日本製造」モデルの一つとして評価できる。

ウイルスが今後、どう変異するかを見通せない中で複数の選択肢を用意しておく意味は大きい。

これまでは契約済みのワクチンでも、海外で輸出規制がかかって調達できず、供給量不足に陥ったこともあった。今回は国内生産のため、安定供給が見込めるメリットもありそうだ。

政府は新たなワクチンを含めたワクチン供給体制の整備に万全を期すとともに、自治体と連携し、接種希望者に対し丁寧な情報提供を行ってもらいたい。

ノババックス社製はB型肝炎ワクチンなどでも使われている「組み換えタンパクワクチン」と呼ばれるタイプである。従来株に90%程度の発症予防効果があり、オミクロン株にも一定の効果が見込まれる。接種部位の痛みや倦怠(けんたい)感などの副反応があるが、多くは軽度~中等度とされる。

対象は18歳以上で、3週間あけて2回目を接種し、半年以上経過した後に3回目を接種できる。既存のワクチンにアレルギーなどがあり、接種できなかった人に朗報だ。欧州連合(EU)などが使用を認めているが、まだ実際の利用は限られている。厚労省は副反応について海外のデータなども早期に収集し、国民に情報提供してもらいたい。

1、2回目にファイザーやモデルナのワクチンを使った人への接種も検討されている。政府はどのワクチンをどう使うべきかを国民に丁寧に説明すべきだ。

途上国への供与も検討したらどうか。日本はこれまで計約4300万回分のワクチンをベトナムなどに提供してきた。中国製ワクチンの供与を受けた国では、効果に懸念も広がっている。

東アジア情勢にも先行きの不透明感が増す中で日本が途上国にワクチンを供与していくことは、経済安全保障の観点からも極めて重要である。

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