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前回と構図異なる新潟知事選 駆け付けた岸田首相と小泉元首相

後援会の会員を前にあいさつする花角英世氏=3月7日、新潟市中央区(本田賢一撮影)
後援会の会員を前にあいさつする花角英世氏=3月7日、新潟市中央区(本田賢一撮影)

今夏の参院選新潟選挙区に影響を与えるとみられる新潟県知事選(5月12日告示、29日投開票)が迫ってきた。立候補を表明しているのは、いずれも無所属で再選を目指す現職の花角英世氏(63)と、新人で会社役員の片桐奈保美氏(72)の2人。4月中旬になり、岸田文雄首相の新潟視察に花角氏が同行すれば、小泉純一郎元首相が片桐氏の激励に駆け付けるなど注目度は抜群だ。

きのうの〝敵〟

今回の知事選は与野党が激突した前回(平成30年)とは大きく様相が異なっている。前回は、自民、公明両党の支援を受けた花角氏と、立憲民主、国民民主、共産、社民などの野党各党や労働組合組織の連合新潟が推す元県議、池田千賀子氏(現県議)が激しい選挙戦を展開。花角氏が約3万7千票差で勝利した。

その花角氏は今回、自公に加え、前回〝敵〟だった国民民主、連合新潟からも支援を受ける。連合新潟が花角氏を応援する背景には「新型コロナウイルス禍で勤労者の生活が苦しくなる中、勤労者福祉で花角知事にとてもお世話になった」(幹部)ことがある。

一方、片桐氏は脱原発を訴える市民団体の会長も務める。その関係で脱原発を掲げる共産、社民、市民団体などが支援する。

苦渋の選択

立民県連は3月、知事選の自主投票という苦渋の選択をした。立民にとって、知事選に続く参院選で4選を目指す森裕子参院議員(66)の勝利は最重要課題。本来なら、知事選で非自民の片桐氏を応援するところだが、党として共産と共に片桐氏を応援すれば、共産との接近を嫌う連合との関係にひびが入りかねない。そうしたことを考慮した結果である。

実際は、森氏が「片桐さんとは長年の友人。応援する」と述べるなど、個人的に応援する形になる。

新潟市内で4月9日に開かれた立民県連・連合新潟の定期協議。立民県連の菊田真紀子代表は「知事選への対応は連合新潟とは違うが、これまで培ってきたお互いの信頼を大切にしながら(参院選を)連携してやっていくことを確認した」と語った。連合は参院選で森氏の推薦を決めた。

脱原発の集会に出席した小泉純一郎元首相(中央)と片桐奈保美氏(右)=10日、新潟市中央区(本田賢一撮影)
脱原発の集会に出席した小泉純一郎元首相(中央)と片桐奈保美氏(右)=10日、新潟市中央区(本田賢一撮影)

対決に向けエール

片桐氏が会長を務める市民団体「新潟の新しい未来を考える会」は4月10日、原発の再稼働反対を訴えるリレートークを新潟市内のホテルで開催。原発ゼロを訴える小泉純一郎元首相も参加した。

閉会のあいさつを行った小泉氏は、脱原発に向けた活動を続けることの重要性を説いた後、こう締めくくった。「一番大事なのは片桐さん。これだけの方々が必死に応援すれば、いい結果が出ると信じている」

小泉氏は選挙に関連する言動を控えているとされるだけに、参加者はその発言に驚いた。終了後、報道陣に囲まれた小泉氏は「今日は片桐さんのために来た。(知事選の投票日まで)1カ月以上ある。選挙はやってみなければ分からない」と語り、会場を後にした。

その6日後の16日、今度は岸田文雄首相が新潟入りした。首相は先端技術企業やITイノベーション拠点を視察後、医師、農家、大学生ら約40人と座談会を行った。座談会を主催したのは、今夏の参院選新潟選挙区に自民党公認候補として立候補予定の小林一大県議(48)陣営だ。

車座の座談会に参加した岸田首相(左)=16日、新潟市中央区(本田賢一撮影)
車座の座談会に参加した岸田首相(左)=16日、新潟市中央区(本田賢一撮影)

首相は座談会について「公務として地方に足を運ぶことも大事だが、政務として自民党の党勢拡大のためさまざまな取り組みに協力することも大事」と説明した。

花角知事は首相の視察に同行し、座談会でも首相の正面に座った。2部構成の座談会の最後に、主催者の小林県議は知事に「対決に向け、次(2期目)に向け頑張ってほしい」とエールを送った。

知事選の告示日は5月12日。大型連休が終わると、すぐに熱戦の火ぶたが切られる。(本田賢一)

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