長崎市の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館が、被爆した女性の手記に基づき、その生涯を描いた22分の映像作品「女性たちの原爆」の上映を始めた。心と体に深い傷を負いながら戦後を生き抜いた4人が、女性であるがゆえに味わった苦悩や悲しみを、写真やイラスト、ナレーションで伝えている。
「私の青春は、本当に灰色でした」。16歳で被爆し右頰に深い傷を負った故・淵本玲子さんは、男性から「女が顔に傷があると、大いに結婚に、さしさわるよ」と言われ「悲しさは、深く心に残ります」とつづった。
故・山田セモさんは32歳で原爆に遭い、夫も家も失った。共に被爆した子供2人と歩んだ戦後の暮らしは「書きたくない 生活とは言えない ただ生きてきた かろうじて生きてきたのだと思ふ」と記した。
同館地下2階の交流ラウンジで常時放映。平和学習などのための貸し出しも検討する。