秋篠宮ご夫妻、三重県ご訪問 密集回避、車で800キロ コロナ禍で異例の行程

秋篠宮ご夫妻が20日、「立皇嗣(りっこうし)の礼」の関連行事として伊勢神宮などに参拝するため、三重県伊勢市に入られた。新型コロナウイルス禍で令和2年1月以来、約2年3カ月ぶりとなった宿泊を伴う地方ご訪問。駅頭などで住民らが密集して感染拡大をもたらす懸念が拭えず、延期が繰り返されてきた。今回は20日の東京-伊勢間(約480キロ)だけでなく、帰途を除く約800キロ全ての移動で車を用い、徹底した感染対策と工夫を凝らした異例の行程となる。

伊勢神宮などへのご参拝は当初、立皇嗣の礼から間を空けずに行われる予定だった。だが、当時はワクチン接種が始まる前で感染状況も見通せず、宮内庁が延期を決定。以降、同庁は専門家の意見を聞くなど、実施時期を模索してきた。

ご訪問の決め手となったのは、感染「第6波」がピークを越え、大きな感染状況の悪化がみられないことに加え、通常なら鉄道を使う移動を、全て車で行うめどがついたことだ。

皇室の方々の地方訪問では、地元住民が歓迎のため駅や沿道に集まる。三重県によると、平成31年4月に上皇ご夫妻が、令和元年11月に天皇、皇后両陛下が伊勢神宮参拝で現地に到着された当日は、それぞれ約1万人が駅などで出迎えた。

こうした密集をどう防ぐかが最大の課題だったが、東京から三重、奈良、京都をめぐって伊丹空港まで計約800キロの行程を車で移動する案が浮上。人が集まりやすい東京、名古屋などのターミナル駅も回避することが可能となった。また、現地でもサイドカーなどを伴う儀式用の車列を組まず、事前に地元住民へ移動経路も案内しないことで、沿道での「密」も避けられると判断された。

関係者によると、車の利用は、住民らの感染リスクを考慮したご夫妻のご意向だったという。ご夫妻が到着される前の20日午後4時ごろ、伊勢神宮の入り口付近では、ご夫妻を歓迎するためとみられる人の姿が見られたが、人数はまばらで、密集することなく静かに行き交う車を見守っていた。

一方、車での長距離移動では、県境を越えるたびに警備を担う警視庁と府県警が高速道路上などで交代する必要が生じる上、事故や交通渋滞に巻き込まれる懸念もあったが、20日は休憩時間も含めて約8時間半の道中で、大きなトラブルは確認されなかったという。

ご夫妻の側近の1人は「訪問先で国民と触れ合われる従来のような形ではないが、現在の感染状況の中でできる形を検討した」と話している。(橋本昌宗、緒方優子)

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