自民党の安全保障調査会が、国家安保戦略(NSS)など戦略3文書の改定に向けた政府への提言案で、国内総生産(GDP)比2%以上の防衛費目標について、「5年以内」と明記する方向で調整していることが20日、分かった。素案では「5年をめど」としていたが、早期実現を目指す姿勢を強める。複数の自民関係者が明らかにした。
同調査会は同日開かれた幹部会合で提言案について大筋合意し、敵基地攻撃能力の名称案など最終調整を小野寺五典会長に一任した。党内手続きを経て、4月末までに岸田文雄首相に提言を提出する。
調整中の提言案では、抜本的な防衛力強化を図るまでの年限として「5年以内」とする文言を盛り込む。また、北大西洋条約機構(NATO)が加盟国にGDP比2%以上の水準を求めているのを踏まえ、2%目標を「念頭に置く」とする。
防衛相経験者から「2%ありきではなく、必要額の積み上げで算出すべき」との異論が出ていたため、昨年10月の衆院選で自民公約に盛り込まれた「対GDP比目標(2%以上)も念頭に防衛関係費の増額を目指す」との表現に基づき調整した。
現在の日本の防衛費はNATO基準の対GDP比で1・24%とされる。