M4クラス地震頻発も「異常な状態でない」理由とは

3月に日本や周辺域で観測されたマグニチュード(M)4以上の地震は195回に上り、例年の倍以上だ。4月に入っても最大震度4以上の地震が頻発し、「巨大地震の前兆では」と不安に思う人も少なくないだろう。ただ、政府の地震調査委員会委員長を務める平田直(なおし)・東京大名誉教授によると、「異常な状態にはない」。その理由と今後の注意点とは何か。

気象庁のまとめでは、3月に最大震度4以上を観測した地震は11回起きた。震源地は福島県沖や石川県能登地方、東京湾と各地にわたり、4月に入ってからも、東北や関西で震度4が相次いだ。

「発生回数は確かに多い」。平田氏も3月以降の地震の多さを認めながら、「自然現象なので多い時期と少ない時期がある」と解説。「現在はその揺れ幅の中にあり、今回の地震活動も日本列島の地震活動として普通に起こること」とした上で、地震の回数が桁違いに増えた平成23年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)後などと比べ「異常な状態にはない」との見解を示す。

それを裏付けるように、比較的強い地震が起きると、周辺や遠方に地震の波が伝わり、地震が起きやすくなるとの報告がある。

3月のM4以上の195回を震源地別でみると、福島・宮城県沖73回▽台湾付近38回▽沖縄本島北西沖20回-といった偏りがあった。3月16日に福島県沖で観測した最大震度6強(M7・4)や、同23日の台湾付近での最大震度6弱(M6・6)が影響したとみられる。こうした強い地震に影響された揺れを除くと、「普段の一カ月の地震回数と大きく変わらない」(平田氏)のが実情という。

過去にも同様のケースがあった。熊本地震が発生した平成28年は、11月にM4以上の地震を192回観測。4月の熊本地震のほか、10月に鳥取県中部で起きたM6・6、最大震度6弱の地震や、11月の福島県沖でのM7・4、最大震度5弱による地震活動が影響した可能性が指摘されている。

地震の影響で屋根が崩れ落ちた民家=3月17日、福島県国見町(納冨康撮影)

ただ、「M7を超える地震は日本や周辺域で年に1回は起きており、決して珍しくはない」と平田氏。普段からの備えは不可欠だが、地域別での注意するポイントはあるのか。心配される南海トラフ巨大地震との関連も聞いた。

東北地方

福島県沖で今年3月16日に最大震度6強(M7・4)を観測する地震が発生。同月末までに震度1以上の地震が107回発生し、死者も出た。一連の地震活動について平田氏は「東日本大震災の余震といえるのでは」。沿岸近くの地震以外に注意が必要なのは、日本海溝より沖合で発生する「アウターライズ地震」だ。揺れは感じにくいが大きな津波を引き起こす可能性があり、「警報が出れば必ず逃げてほしい」と呼びかける。

関東地方

茨城県北部で4月19日に最大震度5弱(M5・4)を観測。関東直下は、北米プレートの下にフィリピン海プレートと太平洋プレートの2枚のプレートが沈み込み、「もともと地震が多い場所」(平田氏)。東日本大震災後は「明らかに地震活動が活発になっている」といい、引き続き警戒を呼び掛ける。

北陸地方

令和2年12月ごろから石川県の能登地方中心に地震が頻発。平田氏は「正直、実態がつかめない」と明かす。能登半島では3センチほど隆起した観測点があり、地下の深さ十数キロの地点に液体が流入し、地殻変動につながっているとの指摘もある。「今後も同じような地震が続く可能性があることを前提に備えてほしい」(平田氏)

東海~近畿地方

和歌山や愛知など、南海トラフ巨大地震の想定震源域やその周辺に加え、京都などの内陸部でも最大震度4を観測。南海トラフ地震の前後で内陸の地震が増えるという学説もある。ただ平田氏は、これらの地震は普段から起きている地震活動の一環である可能性が高いとの認識を示し、「直接、南海トラフ巨大地震に関係するとは考えていない」と述べた。

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