米、重火器の供与急ぐ ウクライナ軍に榴弾砲訓練

カービー報道官(AP=共同)
カービー報道官(AP=共同)

【ワシントン=渡辺浩生】ロシア軍がウクライナ東部ドンバス地域で本格的な地上戦に着手したことを受けて、米国など西側諸国はより攻撃力のある兵器供与にシフトしていくとみられる。ウクライナ側が不十分とする重火器を前線に投入するには訓練と補給の維持が生命線だが、露軍は西部の供給拠点へミサイル攻撃を強めるとみられ、防空態勢の構築も焦眉の急だ。

米国防総省のカービー報道官は18日の記者会見で、13日に発表した総額8億ドルの軍事支援で供与される155ミリ榴弾砲などをウクライナ軍が実戦使用できるよう訓練を数日以内に開始すると明らかにした。東欧同盟国内で駐留米軍によって実施されるとみられる。

ウクライナ側が18日、露軍がドンバス地域の本格攻勢を開始したと発表したことについて、同報道官は「露軍は攻撃作戦に向け態勢を整えている」と述べるにとどめた。

だが、同地域における戦闘は、戦車、大砲、航空支援を擁した「第二次大戦」級の地上戦と予想される。首都キーウ(キエフ)近郊では携帯式ミサイルを駆使したゲリラ戦術で露軍を退却させたウクライナ軍だが、東部戦線で正面から露軍と対峙(たいじ)するには戦力で見劣りする。「重火器を擁したウクライナ以外、ロシアを制止することはできない」(ゼレンスキー氏)と従来の防御用からより攻撃力ある兵器供給への転換を迫っている。

米国は、地上の露軍部隊の位置情報などの共有、重火器の供与拡大と輸送のスピードアップを図る。東欧の北大西洋条約機構(NATO)加盟国はウクライナ軍がすぐ使用できる旧ソ連製戦車などの供与を急ぐ。

ウクライナにとり、ポーランドなど隣国から西部を経由した長距離の補給路の死守が生命線となる。武器弾薬の補給を死守するには、露軍が上空や黒海上の艦船から発射するミサイルを迎撃する防空システムや対艦ミサイルの配備も急ぐ必要がある。

一方、国防総省高官によると、露軍は装備や兵員の補充を整えた戦闘部隊を続々と東部に投入。首都制圧を狙った緒戦の敗因となった補給も東部では国境が近いロシア側に有利となる。米国は東部の戦闘が数カ月から数年かかるとみており、ウクライナの戦闘能力をどこまで持続させるかがカギとなる。

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