近江人巡り

「影武者 明智光秀」著した前川佳彦さん

前川佳彦さん
前川佳彦さん

「『麒麟(きりん)がくる』では、織田信長への対応など本当のことが描かれていないと思った。おもしろさだけを狙ったように感じた」

明智光秀を主に描いたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」(令和2年1月~3年2月に放映)を見ていて、ペンを執ったという。

歴史小説「影武者 明智光秀」(文庫本、398ページ)を著した前川佳彦さん(77)=大津市本堅田。「光秀の『天下の謀反人』というレッテルを貼りかえることができるのではないか」と期待している。

大津市の堅田で生まれ育った。膳所高を卒業後、新聞記者を目指して関西大学文学部新聞学科に進んだが、父親の死で2回生で中退。国鉄(後にJR西日本)に就職して、その傍ら家業の旅館、手芸店を手伝った。国鉄は約25年間勤め、嵐山駅長を最後に退職。その後、地元でスポーツ少年団活動、登山サークル「堅田山の会」立ち上げなど、さまざまな活動をしたが、歴史は高校時代から好きだったという。

小説の話に戻る。タイトルにもなっている光秀の影武者は誰だったのか。

「誰をイメージして書いたのかと知人には聞かれる。徳川家康、斎藤利三(内蔵助)、荒木山城守(やましろのかみ)行信…。ネタバレになるので明かさないが、読む人によって、このタイトルの受け取り方も違っている。それでいい。とにかく、光秀の君主としてのあり方、すばらしさを描きたかった」と力を込める。

歴史好きには、ぜひ手に取って読んでほしいという。「中でも、本能寺の変は光秀の謀反と思っているガチガチの歴史ファンにはぜひ読んでほしい」と希望を述べる。

次作については、すでに書き始めているという。

「大好きな武将、真田昌幸。武田信玄をして『わが両眼』と言わしめた男。歴史の現場に足を運び、あらゆる想像を巡らせている」という。一方で、「読者にスーとストレスなく読んでもらえるよう、読みやすい文章を心掛けている」ともいう。

奥さんとともに日本百名山を踏破した77歳。驚くほど意欲、活力がみなぎっている。次作完成の報告も楽しみにしている。(野瀬吉信)

「影武者 明智光秀」は文芸社から今月15日発売。定価800円(税別)。

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