がん電話相談から

前立腺全摘後のPSA再発 ホルモン療法の副作用が心配

Q 70歳男性です。7年近く前に前立腺がんと診断され、手術や放射線治療をすすめられましたが、開腹手術より体へのダメージが少ない手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使った前立腺全摘術を受けました。その後、前立腺特異抗原(PSA)値が徐々に上がったため、造影剤を使ったCT検査を受けたものの、転移は陰性でした。

再発を警戒し、ホルモン療法を受けることにしましたが、脳梗塞疑いの既往歴や副作用のため中断。経過観察を続ける中で、最近PSA値が急上昇しています。無治療のままで大丈夫でしょうか。

A 前立腺全摘術後のがん再発には、画像診断検査ではっきりと再発が確認できる「臨床的再発」と、画像でがんが確認できないのに血中PSA値が0・2ナノグラムを超えて上昇を続ける「PSA再発(生化学的再発)」の2つがあります。

PSA値が1とか2くらいであれば、がんはさほど大きくないため再発していても画像検査では分からないのです。あなたの場合はPSA再発となります。

Q 私の場合は、どのような治療を受けたらよいでしょうか。

A 中断したホルモン療法の再開か放射線治療の2つの方法がありますが、それを決めるにはPSAを産生しているがんが前立腺摘出部の近くに再発したものなのか、それとも離れた場所に転移したものなのかを確かめることが大切です。骨盤部への放射線治療は局所再発の場合しか有効ではないからです。

Q 局所再発か遠隔転移かは、どうしたら分かるのですか。

A 通常は骨盤部のMRI検査、骨シンチグラフィーおよび胸腹部のCT検査で診断します。また、手術で摘出した前立腺の病理検査の結果、切除標本の表面や断端にがん細胞が顔を出していれば局所再発の可能性があり、放射線治療の選択肢が出てきます。

一方、切除した前立腺の中にがんが閉じ籠もっていた場合は周辺部に再発することは比較的少ないため、転移の可能性が高いと判断され、ホルモン療法を行うことが多くなります。中断したホルモン療法はどのようなものですか。

Q 3カ月に1度、リュープリン(一般名LH―RHアゴニスト製剤)の注射を打ってもらいPSA値は大きく下がりましたが、ホットフラッシュ(ほてりや発汗などの症状)が強かったため中止してもらいました。また、カソデックス(同ビカルタミド)は脳梗塞疑いの既往歴があるため、使用を見合わせています。

A 脳梗塞を警戒する気持ちは分かりますが、最近の検査ではPSA値が3カ月ごとに2倍のペースで上昇しているので、このまま無治療でいるとやがて転移が明らかになる可能性があります。

Q 急がないと手遅れになるのでしょうか。

A 前述のようにPSA値が倍になるまでの期間が3カ月と速くなっているので、早めにホルモン療法を再開されるのがよいでしょう。脳梗塞を防ぐため血液をサラサラにする抗凝固薬やコレステロールを下げる薬などを併用すればカソデックスも使用できるので、循環器内科で専門的な助言を受けてください。また、ホルモン療法ではホットフラッシュだけでなく、筋力、骨密度、耐糖能の低下や循環器系への悪影響など長期的にはいろいろな副作用が出るので、持続的に行うのではなく、間欠的ホルモン治療(PSA値の低下の程度にもよるが、半年~1年ごとに治療と休薬を繰り返す)に切り替えるのも一つの方法です。主治医と相談されるのがよいでしょう。

回答は、がん研有明病院顧問(泌尿器科)の福井巌医師が担当しました。

がん研有明病院の福井巌医師
がん研有明病院の福井巌医師

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