琥珀(こはく)院 二
晴賢(はるかた)は荒々しく立つと隆兼(たかかね)をのこして広間から出て行ってしまった。伊香賀(いかが)も悄然(しょうぜん)となった隆兼に冷ややかな一瞥(いちべつ)をくれて、後を追う。
弁護の道は怒りの噴火に遭い、閉ざされた。
弘中家は――江良(えら)に全て打ち明け、反逆の仲間として陶(すえ)に滅ぼされるか、江良と共に陶に反旗を翻(ひるがえ)し、毛利の旗の下に参じるか、命令通り江良を斬るかしか、採るべき道がなくなっている。
毛利につく選択肢は隆兼の中に、ない。
琥珀(こはく)院 二
晴賢(はるかた)は荒々しく立つと隆兼(たかかね)をのこして広間から出て行ってしまった。伊香賀(いかが)も悄然(しょうぜん)となった隆兼に冷ややかな一瞥(いちべつ)をくれて、後を追う。
弁護の道は怒りの噴火に遭い、閉ざされた。
弘中家は――江良(えら)に全て打ち明け、反逆の仲間として陶(すえ)に滅ぼされるか、江良と共に陶に反旗を翻(ひるがえ)し、毛利の旗の下に参じるか、命令通り江良を斬るかしか、採るべき道がなくなっている。
毛利につく選択肢は隆兼の中に、ない。