子ども家庭庁法案審議入り 虐待など政策の実効性焦点

衆院本会議でこども家庭庁設置法案等で趣旨説明を行う野田聖子少子化担当相=19日午後、国会・衆院本会議場(矢島康弘撮影)
衆院本会議でこども家庭庁設置法案等で趣旨説明を行う野田聖子少子化担当相=19日午後、国会・衆院本会議場(矢島康弘撮影)

子供関連政策の司令塔となる「こども家庭庁」の設置関連法案が19日、衆院本会議で審議入りした。少子化が加速し、虐待や子供の貧困などの問題が深刻化する中、行政のたて割りを解消し、一元的に対応するのが狙いだ。政府・与党は今国会で法案を成立させ、令和5年4月の発足を目指す。

岸田文雄首相は本会議で、「こども家庭庁を創設し、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取り組みや政策が『真ん中』に据えられる社会を実現する」と説明した。

こども家庭庁は、首相直属の内閣府の外局として設置される。各省庁に対し、子供政策の改善を求める「勧告権」を持つ専任の閣僚を置き、省庁の対応が不十分な場合は首相に意見を述べることなどができる。

また、厚生労働省や内閣府から子供や子育てに関する部署を移管。保育所に関する施策や虐待防止、子供の貧困対策などに取り組む。一方、幼稚園や小中学校などの教育分野は引き続き文部科学省の所管となる。いじめの防止などでは文科省と情報共有し、連携して対応にあたる方針だ。

このほか、性犯罪の加害者が保育や教育の仕事に就けないようにする「日本版DBS」の導入に向けた検討も進める。

これに対し、立憲民主党と日本維新の会がそれぞれ対案を提出。自民、公明両党は政府法案とは別に子供政策の基本理念を定めた「こども基本法案」を提出しており、並行して審議される。

岸田文雄政権は子供政策の司令塔「こども家庭庁」を創設することで子供政策を強力に推進したい考えだ。新型コロナウイルス禍もあり、少子化や孤独、虐待など子供を取り巻く状況は厳しくなっているためだ。一方で、省庁の縦割り解消を掲げたものの、幼稚園や保育園、認定こども園の所管を統合する「幼保一元化」を見送るなど、早期創設を優先した結果、生煮えの部分もあり、実効性を高められるかが焦点になる。

「司令塔を一本化し、各省庁より一段高い位置から子供政策の一元的な総合調整を行う」。野田聖子こども政策担当相は19日の衆院本会議で、こども家庭庁創設の意義を強調した。

こども家庭庁は、菅義偉前政権が提唱したものを岸田政権が引き継ぎ、子供政策への思い入れが深い野田氏が中心となって法案提出にこぎ着けた。

子供政策は長年にわたって省庁の縦割りが指摘されてきた。保育所は厚生労働省、幼稚園は文部科学省、認定こども園は内閣府がそれぞれ所管し、幼保一元化が課題となってきた。

こども家庭庁の狙いは、こうした縦割り行政の是正だったが、制度設計の過程で、省庁間の調整が難航。最終的に保育所と認定こども園はこども家庭庁に移管されるが、幼稚園など教育分野は文科省に残された。

政府は保育所の指針と幼稚園教育要領を共同で策定することなどを通じ、実質的な幼保一元化を図るとしている。ただ、19日の本会議でも、日本維新の会の堀場幸子氏が「(こども家庭庁は)教育分野が切り離されている。さまざまな問題が縦割り行政で起きてきたにもかかわらず、今回も文科省には手をつけていない」と疑問を呈した。

また、深刻化するいじめの問題については、こども家庭庁が文科省と情報共有し、必要な対策を取ることになる。だが、役割分担であいまいな部分が目立ち、どちらの役所が責任を持つのかも見えにくい。

子供政策では、コロナ禍で加速する出生数減や家族の世話を担う子供「ヤングケアラー」などの問題もある。政府は法案審議を通じて、こども家庭庁がこうした課題にいかに対応するのか示すことが求められる。(永原慎吾)

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