横浜で薬師如来を巡礼 12年に一度の寅年に

武南十二薬師如来霊場のパンフレット。12寺院の寺号や地図などが記されている
武南十二薬師如来霊場のパンフレット。12寺院の寺号や地図などが記されている

生きとし生けるものの病を治し、災禍を取り除く仏様として信仰される薬師如来(薬師瑠璃光如来)を安置している霊場を訪ね、功徳をいただく巡礼が、横浜市内の12寺院で行われている。江戸時代に始まった歴史あるお参りで、12年ごとの寅年に開帳されている。新型コロナウイルスの感染者数が高止まりし、「第7波」の到来が指摘される中、真摯(しんし)な気持ちで参拝し、収束を願おう。

患いが除かれる

薬師如来を開帳しているのは、東京都や埼玉県、横浜、川崎両市の一部で構成されていた旧国名「武蔵国」の南部に位置する寺院で、「武南十二薬師如来霊場」と呼称されている。横浜市神奈川区が5寺と最も多く、港北区は3寺、都筑区2寺院、保土ケ谷区2寺となっている。宗派別にみると、真言宗7、曹洞宗4、浄土宗1となる。

12寺院となった理由は、諸説が伝わる。薬師如来がまだ菩薩だったころ、心に誓った12の大願に関係があるとする説や、薬師如来を守っている金剛力士など12神将に由来をもつとする説などがある。ちなみに菩薩とは、如来になる前の仏様の位である。

薬師如来といえば、「病気平癒の仏様」として知られ、12の大願のうち7番目に「病のものも私の名前を聞けば患いが除かれる」という趣旨の誓いがあり、これがいわれとされる。

貴雲寺住職が発案

「武南十二薬師霊場納経帳」の説明書きによると、こうした巡礼が始まったのは江戸時代の天明2(1782)年で、札番が1番となる貴雲寺の第9世住職だった泰山大和尚が、安永8(1779)年に考え出した。なぜ3年後に始めたかというと、同年が寅年だったためだ。

薬師如来は、東方にある「浄瑠璃世界」という浄土の教主で、寅の方角は東北東となるから寅年に行われたなどと伝わり、如来には「寅薬師」なる通称がある。寅と如来は、深い関わりがあるわけだ。

巡礼の期間は30日までで、受付時間は午前9時から午後4時半。この霊場を巡礼するためにつくられた御朱印帳のような「納経帳」と、12寺院全ての位置などを掲載した地図は、どの寺院でも1千円のセット価格で購入できる。御朱印は12寺院共通で300円。札番に従わず巡礼しても構わない。

優しいまなざし

各寺院に安置されている多くの薬師如来は、施無畏印(せむいいん)と呼ばれる形を右手の指でつくり、恐れを取り去り救いの手を差し伸べてくれていて、左手には薬壺を持ち、穏やかで優しいまなざしを巡礼者に注いでくれている。

残念なことに、新型コロナの感染が収束する兆しは見えてこない。こんな時節にこそ、あつく信仰したい仏様だ。もとより、「病気平癒」を念願したっていい。御利益がきっとある。

12番目の札番となる三宝寺の第30世住職の樋口芳宏さんは「お薬師さまのお顔を拝める12年に一度の機会です。新型コロナ禍にあって、気持ちが晴れない人もおられると思います。手を合わせて心を静めてもらいたい」と話している。

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