たばこと健康

成人年齢は引き下げられたが…

「民法の一部を改正する法律」が4月1日に施行された。この日、平成14年4月2日から16年4月1日に生まれた人が成人となり、それ以降生まれの人は18歳の誕生日を以て成人となる。これにより、18歳から親の同意なしの契約、自分の意志による住む場所の決定、10年有効パスポートの取得などが可能になった。成人年齢はこうして引き下げられたが、喫煙・飲酒・公営ギャンブルは20歳まで禁止される。これは変わらない。

高崎健康福祉大学で実施した令和3年度禁煙アンケートによる学生の成年前後の喫煙状況を表1に示す。18、19歳に習慣的喫煙者はいないが、20歳以上では男性4・7%、女性0・8%が習慣的に喫煙していた。彼らがたばこを吸った理由は「好奇心から」が49・6%、「喫煙者に勧められた」が32・6%であった。

たばこが健康に良くないことは多くの人が知っている。たばことの関連が確実とされる病気などを表2に示す。たばこの煙の三大有害成分(ニコチン、一酸化炭素《CO》およびタール)と、これらの病気などの関連を解説する。新成人にはたばこの健康への悪影響について理解を深め、喫煙しない理性を身につけて欲しいと考える。

ニコチンは「毒物及び劇物取締法」で指定される毒物であり、大量に摂取すると中毒や死亡もありうる。たばこの煙に含まれるニコチンは肺で血液に溶け込み、毛細血管を収縮させ血圧上昇や血流悪化の原因となる。脳内でドーパミンなどの心地よさを生む神経伝達物質を放出させ依存症を引き起こし、ニコチンへの依存発生でたばこを吸い続けることになる。ニコチンには発がん性はないが、その代謝物であるニトロソアミン類には発がん性が認められる。

また、乳幼児のたばこ誤飲によるニコチン中毒や死亡事故防止のために乳幼児の手の届く範囲にたばこを放置したり、受動喫煙を防ぐため乳幼児の近くでたばこを吸ったりすることは、絶対禁止である。

COは炭素含有物の不完全燃焼で発生する無色無臭の気体で、ヘモグロビンとの結合力が酸素の200倍以上ある。濃度によっては中毒を起こし、死に至ることもある危険な気体である。喫煙でCO中毒にはならないが、血液の酸素運搬が阻害され、動脈硬化の原因になる。妊娠中の喫煙で胎児への栄養や酸素の供給が滞ると、早産や低出生体重のリスクが高まる。

タールはPM2.5に該当する煙の微粒子で、多くの発がん物質を含む。肺の奥まで到達するが、途中の歯や口腔・気道の粘膜にも付着する。付着したタールの成分は体内に取り込まれ、表2のように身体各部に悪影響を及ぼす。

たばこ会社は「加熱式たばこは有害物質が少ない」と宣伝しているが、加熱式たばこもニコチン依存症を引き起こす。がんや、その他の病気との関連はまだ検証できておらず、その有害性が低いとはいえない。

法的には20歳で喫煙はできるが、たばこが健康の阻害要因となることは確かで、手を染めないのが最良の選択である。

(高崎健康福祉大教授 東福寺幾夫)

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