主張

私大のガバナンス チェック機能増す改革を

私立大学などを運営する学校法人のガバナンス(組織統治)について、文部科学省の審議会の特別委員会が報告書をまとめた。経営陣である理事会に対するチェック機能を高める内容だ。

日本大学の不祥事の例をみるまでもなく、理事らの暴走を許さぬ統治改革は必要である。

学校法人では理事会とは別に、諮問機関として評議員会が設けられている。報告書では、評議員会に法人の合併や解散といった重要事項の議決権のほか、理事の解任請求権などを与え、一定の権限強化と牽制(けんせい)機能を持たせる。新たな仕組みは文科大臣所管の大学や高等専門学校の設置法人を対象とし、私立学校法改正を目指す。

昨年、公認会計士らをメンバーとした文科省の別の有識者会議が、評議員会を学外者だけで構成し、「最高監督・議決機関」と位置づけ、理事の選任・解任権を付与する大幅な改革案を示した。

これに対し私学側から「建学の精神を瓦解(がかい)させる」など反発が起きた。確かに学外者任せの統治に、無理と不安があるのは否めない。評議員に識見ある人材をそろえられるかを含め、「絵にかいた餅」では学内混乱のタネともなりかねない。

今回の報告書は、百点満点とはいえないが、これを改革の一歩とし、組織の甘いガバナンスを見直すべきだ。

昨年、当時の理事らの背任事件と理事長の脱税事件が発覚した日大が、文科省に示した再発防止策では、体制を一新し、理事や評議員に学外から積極的に登用することなどを盛り込んでいる。再発防止策のベースとなった第三者委員会の調査では、学生を二の次にし、一部の利益を優先していたとの厳しい指摘もされた。

人ごとではなく、真に学生に目を向けた学校運営がなされているか、各校は改めて問い直すべきだ。コロナ禍の学生支援、教育の改善など怠っていないか。

少子化の中、学生そっちのけで保身に走るような学校運営では生き残れない。文科省の特別委の報告書でも現代は「高度で複雑な戦略的経営が必要」と指摘するとともに、創立の理念と建学の精神のもとに学校を設置・管理する私学の意義をうたっている。

その伝統と独自性を踏まえた教育、研究の活性化につながる、実効性ある改革としてほしい。

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