田中希実「自分の殻破る」 脱スペシャリストへの挑戦

東京五輪の陸上女子1500メートルで8位入賞を果たした田中希実(右から2人目)。今季は幅広い種目への挑戦を掲げている=昨年8月、国立競技場
東京五輪の陸上女子1500メートルで8位入賞を果たした田中希実(右から2人目)。今季は幅広い種目への挑戦を掲げている=昨年8月、国立競技場

陸上のトラックシーズンが4月下旬から本格化し、今年7月の世界選手権(米オレゴン州)を見据えた戦いが始まる。注目選手の一人が、女子1500メートル日本記録保持者で昨年の東京五輪8位入賞の田中希実(のぞみ)(豊田自動織機)だ。今春から社会人となり「世界で活躍する陸上選手になりたい」と新たな誓いを立てている。

田中は今春に同志社大を卒業し、大学在学中からサポートを受けていた豊田自動織機に入社。社会人初レースとなった9日の選抜中・長距離大会(熊本)は、本命の1500メートルを欠場して5000メートルに出場し、15分26秒53で日本人トップの6位に入った。

東京五輪では1500メートルと5000メートルに出場。5000メートルは決勝に進めなかったが、1500メートルの準決勝では日本女子で初めて「4分の壁」を破る3分59秒19の日本新をマークし、決勝で8位入賞を果たした。

ただ、田中は「1500メートルのスペシャリストでいくのも嫌」と話し、今季は800メートルから1万メートルまで幅広い種目にチャレンジしていく。800メートルでは日本記録を上回る「2分切り」も目指している。1500メートルで世界で戦うためには3分55秒までタイムを上げていく必要を感じていて、800メートルへの挑戦はスピード強化の一環でもある。

16日の兵庫春季記録会では400メートルに初挑戦。24日の兵庫リレーカーニバルは1500メートルと1万メートル、29日の織田記念国際は5000メートル、30日~5月1日の木南(きなみ)道孝記念は800メートルと3000メートル、同3日の静岡国際は800メートルにエントリーしていて、体調と相談しながら、レースを重ねていく予定だ。

社会人となり「ここからが世界での地位を築く上での正念場」と強調する。世界選手権をどの種目で狙うかはまだ明らかにしていないが、「自分の殻を破る」という目標に向かって、貪欲に走っていく。(丸山和郎)

東京五輪代表が火花

今季もトラックの最大の注目は男子100メートルだ。9秒95の日本記録を持つ山縣(やまがた)亮太(セイコー)は昨年10月に右膝の手術を受けて出遅れているが、9秒台を持つサニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)、桐生祥秀(よしひで)(日本生命)、小池祐貴(住友電工)に加え、昨年の日本選手権優勝の多田修平(住友電工)、同2位のデーデー・ブルーノ(セイコー)らが激しい代表争いを繰り広げそうだ。

東京五輪で入賞を果たした男子走り幅跳びの橋岡優輝(富士通)、男子3000メートル障害の三浦龍司(順大)、女子1万メートルの広中璃梨佳(りりか)(日本郵政グループ)にも期待が高まる。1万メートルは5月7日に一足早く開催される日本選手権(東京・国立競技場)で世界選手権の代表入りを争うが、大半の種目は6月の日本選手権(大阪・ヤンマースタジアム長居)で3位以内に入って参加標準記録を満たしている選手が優先的に代表に選ばれる。

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