ウクライナ侵攻どう教える? 横浜国際高校で実践

横浜国際高校の授業で利用した記事が掲載されている3月13日付の産経新聞(大阪本社発行分)
横浜国際高校の授業で利用した記事が掲載されている3月13日付の産経新聞(大阪本社発行分)

ロシアのウクライナ侵攻について、学校でどう教えるか。神奈川県立横浜国際高校(横浜市南区)で3月、歴史の授業で新聞記事も利用した実践が行われた。生徒らは、ニュースについて多面的な情報や当事者の声を知って、「自分のこと」として議論した。担当した徳原拓哉教諭(29)は「歴史的出来事を語る際の立場や解釈する難しさについて、生徒の自覚が出た」と学習の成果を述べた。

横浜国際高等学校・徳原拓哉教諭
横浜国際高等学校・徳原拓哉教諭

国際科がある同校は海外にゆかりのある生徒もいる。生徒から出た「ロシアに関係のある友人がウクライナ侵攻に心を痛めている」との問いかけを考えることにした。

生徒は、過去の史料は書き手次第で良くも悪くもなるので、本当のことを知るには書かれた時代や書き手の立場を考慮する必要がある、とする資料を読み、ウクライナ情勢に関する資料の特徴や見るときの注意点を話し合った。

ウクライナ侵攻に関しては、ロシア史研究者で東大大学院准教授、池田嘉郎氏が「私が知っているロシアが崩れていく」などとつづったブログを読解。さらに、在日ロシア人の「ロシア人に対して周りの目が変わったような気がする」とする声や、「国と個人とを切り分けて考えることが重要」とする国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授、山口真一氏(ネットメディア論)のコメントを載せた産経新聞の記事などが提示された。

これを読んだ生徒らは議論を展開。「私は、ウクライナも国家と人々を一緒に語っていた。ゼレンスキー大統領の主張に対し、国民は『とにかく戦争が終わってほしい』と反対するのか、『戦い続けるべきだ』と考えるのか。そこに生きている人がいることに気付き、答えを簡単に出せなくなった」などの意見が出た。

新聞記事を選んだ理由について、徳原教諭は「現在進行中の事実について、教科書に当事者の声が載ることはない。最新情報や事実を書くジャーナリズムにさまざまな立場があれば、記事を批判的に捉えたり比較して考えたりできる」と説明した。

授業後、生徒は「聞いたことのない単語が出てきたり、歴史の流れを理解したりしているクラスメートの知識量に圧倒され、無知が一番の暴力だ、との言葉にぐっときた」と不勉強を悔いたり、「ロシア人にも苦しんでいる人がいることを知った」と多面的な視点を持つ必要性に気付いたりしたとコメントした。

「授業は教師にも生徒にも迷いはあった」という徳原教諭。だが、「生徒は知りたい、考えたい、表現したいと思っている。教育者が土台を整えれば、生徒の学びは教育者の想像を超えていくと知った」と評価した。

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