自民が連合に接近、野党勢力を分断 芳野氏を招聘

政治 自民党政務調査会「人生100年時代戦略本部」を終え記者団の取材に応じる芳野友子会長=18日午後、東京・永田町の自民党本部(矢島康弘撮影)
政治 自民党政務調査会「人生100年時代戦略本部」を終え記者団の取材に応じる芳野友子会長=18日午後、東京・永田町の自民党本部(矢島康弘撮影)

自民党は18日、党本部で開いた「人生100年時代戦略本部」に、労働組合の中央組織「連合」の芳野友子会長を招き、社会保障政策に関する意見を聞いた。立憲民主、国民民主両党を支援してきた連合トップが自民の会議に出席するのは異例だ。自民は連合に接近し、夏の参院選で野党勢力の分断を図ろうとしている。

芳野氏は18日の会議で、女性や非正規雇用の労働環境の改善を訴えた。選挙への言及はなかった。

自民の上川陽子本部長は会議後、「課題解決のためには(自民と連合が)力を合わせて取り組んでいく必要があると共有したのではないか」と記者団に強調した。芳野氏も「問題認識は自民党とほぼ一緒だと思った」と感想を語った。

この日に至るまでに、自民は麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長、小渕優子組織運動本部長らが関係強化を図ってきた。2月に小渕氏、3月に麻生氏がそれぞれ芳野氏と会食している。

麻生氏は芳野氏に、賃金引き上げに取り組んできたのは自民だと説き、「自民と一緒に労働政策を勉強する気はないですか。政策実現には自民が一番でしょう」と持ちかけている。選挙は政党単位ではなく、良い自民候補がいれば支援することも働きかけたという。

今月17日の福岡市での講演では「労働者の先頭に立って経営者に『給料を上げるべきだ』と言っている政党は自民党。それを一番理解しているのは連合だ」と強調した。

岸田文雄首相も政府の「新しい資本主義実現会議」のメンバーに芳野氏を指名。1月の連合の新年交歓会に現職首相としては9年ぶりに出席している。

立民と国民民主は同じ旧民主党を源流とするが、昨年10月の衆院選で共産党との距離感をめぐって亀裂が深まり、連合が間に入る形で辛うじて政策協定を結んだ。自民は衆院選後、芳野氏と間合いを詰めつつ、「反共産」の民間労組に支えられる国民民主と関係を強化した。与党に国民民主を加えた3党で燃油価格高騰対策の協議を重ねる。立民内では国民民主の与党寄りの姿勢に批判が高まり、分断が進んだ。

野党候補が乱立し、非自民票や政権批判票が分散すれば、自民候補に有利に働く。令和元年の前回参院選では32の1人区全てで野党が統一候補を立てた。今年の参院選は「おそらく10前後」(茂木氏)にとどまる見通しもあり、自民優位の情勢ができつつある。(田中一世)

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