自民の安保戦略山場 防衛費、敵基地攻撃名称も焦点

自民党本部
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政府が年末をめどに進める国家安全保障戦略(NSS)など「戦略3文書」の改定に向け、自民党の安全保障調査会(会長・小野寺五典元防衛相)による提言の策定作業が大詰めを迎えている。ロシアや中国などの脅威が増す中、「防衛力の抜本的強化」(岸田文雄首相)を目指し、防衛費目標の示し方や敵基地攻撃能力の表現などが焦点となっている。提言は月末までに首相に提出し、自民の参院選公約に反映させる。

ロシアによるウクライナ侵攻は、日本を取り巻く安保環境も一層厳しいものにした。中国や北朝鮮などは軍事活動を活発化させるとみられ、陸海空の従来戦力だけでなく宇宙やサイバーなど新領域の強化や、敵基地攻撃能力といった新たな抑止力の保有も課題だ。

調査会で焦点となったのが、北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に求めるものと同水準となる対国内総生産(GDP)比2%の防衛費目標の導入だ。現在は1・24%程度とされる。自民は昨年10月の衆院選でこの目標を公約に掲げた。

だが、7日の会合ではベテラン議員から「必要額を積み重ねて総額を決めるのが当然で、目標ありきは本末転倒だ」などと反発が上がった。一方、「政治が腹を決めて姿勢を示すべきだ」との声も強く、最終的に「国民の理解を得ることが最も重要」との認識で一致。目標額は丁寧に説明する条件を付け、GDP比2%目標に理解を得た。

目標達成の年限も議論された。新たに策定を求める「国家防衛戦略」の改定期限と同じ10年間をめどに途中でレビュー(見直し)を行う案もあった。しかし「漠然と10年程度では間に合わない」との意見もあり、現在は5年間の年限でGDP比2%目標を達成する方向で調整している。

もう一つの論点が敵基地攻撃能力の名称だ。保有を求める方向は一致するが、「敵基地」「攻撃」といった表現が誤解を招くとの指摘が多い。ミサイルの発射台付き車両(TEL)の登場で、攻撃対象は固定基地だけとはかぎらなくなった。

11日の会合では「自衛反撃能力」「領域外防衛」「ミサイル反撃力」などの案が挙がった。約2年前の調査会提言では「相手領域内でも弾道ミサイル等を阻止する能力」としたが、分かりにくいと指摘された。今回は「先制攻撃でないことを明示することが重要」(国防族議員)との観点から「反撃」がキーワードとして浮上している。(市岡豊大)

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