光を動力源に水中を進む「マリモロボット」の実力

英国の大学の研究チームが、一風変わった見た目の生体ロボットを開発した。水の中を非常にゆっくり進むこのロボットを動かしているのは、淡水湖などに生息するあの「マリモ」だ。

淡水に生息し、球状の集合体をつくることで有名な緑藻のマリモ。名前を聞いて北海道の阿寒湖などの湖底に静かに沈んでいる姿を思い浮かべる人も多いだろう。そんなマリモを動力源に水中を移動する生体ロボットを、英国のある研究チームが開発した。

このチームが注目したのはマリモの光合成だ。マリモは光を浴びると酸素を放出するが、これがマリモにくっついて浮くことがある。そこでチームは放出される酸素を閉じ込め、それをロボットの動力源にできないかと考えた。

完成した「マリモ・アクチュエーター・ローバー・システムズ(MARS)」は、3Dプリントされた直径2cmほどの特殊なカプセルの中にマリモを入れたシンプルなローバーだ。カプセルには通気孔が開いており、内部に空気が一定程度たまると、この穴から放出されるようになっている。光合成によってマリモが酸素を放出すると、それを動力源としてローバーが転がって進むという仕組みだ。なお、気泡は光が当たる面の反対側にある通気孔から放出されるよう計算されつくられているという。

それゆえ、このローバーには障害物を“飛び越える”能力もある。障害物に当たってローバーが静止すると通気孔がふさがれ、中に酸素がたまって浮くのだ。一度浮くと再び通気孔から酸素が放出され、ローバーは水の底に沈み移動を続けることになる。この仕組みによって、10cm程度の壁を乗り越えられることが実験で確認されたという。

「マリモはセンサーとしてもアクチュエーターとしても使えるので、これらを組み合わせることによって太陽光を動力源とし、太陽光から離れた方向に自律的に動くバイオローバーを開発できたのです」と、MARSを開発した西イングランド大学ブリストル校のUnconventional Computing Laboratory(非従来型コンピューティング研究所)のニール・フィリップスは話す。

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