入れ歯に「名札」、災害時の身元確認 和田精密歯研、2次元コードも

入れ歯に装着された氏名などが書かれたプレート(和田精密歯研提供)
入れ歯に装着された氏名などが書かれたプレート(和田精密歯研提供)

災害時に歯の情報から身元を特定する方法に注目が集まっている。平成23年の東日本大震災では、岩手、宮城、福島の3県で歯型が決め手となって身元が特定された遺体は全体の約8%に上った。これを受け、義歯製造・販売最大手の和田精密歯研(大阪市)は、入れ歯に氏名などの情報が書かれたプレートを付け、災害時の身元確認を迅速化する取り組みを始めた。かかりつけの歯科医院とひもつける2次元コードも備え、警察からの照会に応じる。

プレートは法律で安全性が認められたニッケルクロム合金に樹脂のレジンをコーティング。縦5ミリ、横20ミリ、厚さ0・5ミリと小さく、入れ歯の内側に装着するため違和感はないという。保険適用外で、義歯に追加する形で歯科医院ごとに料金が設定される。

プレートを付けた人が身元不明者となった場合は、警察がスマートフォンなどで2次元コードを読み込み、和田精密歯研が自社のデータベースと照合して処置を受けた歯科医院を回答。歯科医院のカルテなどから身元を特定する。これにより、かかりつけ医院の絞り込みに要していた作業が大幅に軽減できる。

東日本大震災では、歯型が決め手となって身元が特定されたのは、身体的な特徴や所持品による特定に次いで多く、指紋・掌紋やDNA鑑定を大きく上回った。和田精密歯研の担当者は「指紋はなくなっても義歯や歯は残るため、身元確認が長期化する場合にも有効」と説明する。

また、高齢者施設で起こりがちな入れ歯の取り違えを防ぎ、徘徊するなどして保護された認知症高齢者の身元確認にも生かせるため、同社は「取引先の歯科医院を通じて普及に努めたい」としている。(田村慶子)

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