横浜生まれのナポリタン 発祥の店と広めた店とは

ケチャップ味のナポリタンについて「味を守り続けたい」と意気込むセンターグリル会長の石橋秀樹さん(外崎晃彦撮影)
ケチャップ味のナポリタンについて「味を守り続けたい」と意気込むセンターグリル会長の石橋秀樹さん(外崎晃彦撮影)

ケチャップに回帰

石橋氏はナポリタンを米兵由来のケチャップを使う調理法に〝回帰〟させ、味付けなどを整えてメニューとして確立した。興味深いのは、そうした背景に、ナポリタン開発者の入江氏の協力があったことだ。

石橋氏はもともとホテルニューグランドの初代総料理長、サリー・ワイル氏が経営していた別のホテルに務めるシェフだったという。

「そこで(2代目の)入江氏とも交流があり、出店にあたって手軽で安価に提供できるケチャップを使った調理法の手ほどきを受けたようです」。石橋氏の子でセンターグリルの2代目社長を務めた現会長の石橋秀樹さん(78)がこう解説する。

こうして石橋氏によって完成されたケチャップ味のナポリタンはその後、だれもが取り扱いやすいメニューとして、軽食店・喫茶店などを中心に全国に広がっていくことになる。秀樹さんは「テレビなどの影響もあり、ここ10年は特に注目が集まっていると感じます」と話す。

同店のナポリタンは「ケチャップがからんだときに風味が一番増す」(秀樹さん)という2・2ミリの極太麺を使用。ゆでた後に1日寝かせることでモチモチ感を出している。ケチャップの酸味と炒めたタマネギなどの甘さがからみあう絶品だ。最近ではコンビニエンスストアからコラボメニューが期間限定で販売された。センターグリルはそんな〝元祖〟ナポリタンを求めて訪れる客で現在もにぎわっている。

互いに敬意、いまも交流

ホテルニューグランドとセンターグリルは、ホテルとまちの洋食店という、一見対極にありそうな店舗だが、2店ではいまもシェフ同士の交流があるなど、良好な関係が続いているという。

ホテルニューグランド総料理長の関口さんは、ワイル氏の下で働いた石橋氏を「いわば兄弟子のような存在」と親しみを込めて紹介する。そしてセンターグリルについて「そんなシェフが作った店であり、当ホテル発祥のナポリタンというメニューを非常に大切に扱ってくれている」と敬意を示している。

一方のセンターグリル会長の秀樹さんも「まちの小さな店をかわいがってくれてありがたい」と感謝し、「ナポリタンは、これからも作り方や材料、味を変えることなく、ずっと昔の姿のままでやっていきたい」と意気込んでいる。

2店のシェフたちのつながりによって世に広まることになったナポリタン。横浜で、ナポリタンの〝2つの味〟を食べ比べしてみるのも面白そうだ。(外崎晃彦)

会員限定記事会員サービス詳細