サッカー通信

JFL鈴鹿の罰金処分が突きつけた「戦略的敗退」の是非

2018年W杯ロシア大会1次リーグ第3戦のポーランド戦に敗れて決勝トーナメント進出を決めた日本代表イレブン。「戦略的敗退」であったと物議をかもした=2018年06月28日、ロシア・ボルゴグラード(甘利慈撮影)
2018年W杯ロシア大会1次リーグ第3戦のポーランド戦に敗れて決勝トーナメント進出を決めた日本代表イレブン。「戦略的敗退」であったと物議をかもした=2018年06月28日、ロシア・ボルゴグラード(甘利慈撮影)

日本サッカー協会の規律委員会が5日、日本フットボールリーグ(JFL)の鈴鹿ポイントゲッターズで2020年、クラブ幹部がチームに意図的敗退を指示したと認定して関係者への処分を発表した。動機に挙げたのは、クラブの中長期的なメリット。組織の将来を見据えた戦略を優先させて眼前の試合を軽視する行為は、スポーツ界では皆無といえないだけに考えさせられる問題だ。

規律委によると、鈴鹿の幹部らが意図的な敗退を検討したのは、20年11月29日に行われたJFL最終節のソニー仙台戦だった。

背景はJ3昇格をめぐる争いだ。J3昇格にはJリーグ百年構想クラブの認定とJ3ライセンスの取得に加え、JFL4位以内かつ百年構想クラブの上位2クラブに入るという条件があった。20年JFL最終節を控え、当時、百年構想クラブではなかった鈴鹿にJ3昇格の可能性はなく、いわきFC、ヴィアティン三重、FC大阪がJ3昇格の可能性を残していた。

鈴鹿が最も避けたかったのは、同じ三重県内にホームを置く三重のJ3昇格とみられる。最終節における鈴鹿の勝敗に関わらず、三重にJ3昇格の可能性はあった。しかし、鈴鹿の幹部らは敗れた方が可能性を下げられると判断した。

規律委によると、11月27日に開かれたミーティングで、クラブオーナーが監督らに「負けていて残り時間が少ない場合、負けるという選択肢を選んでほしい」などと発言。翌日のミーティングでクラブ運営会社の元役員が監督や選手に「同一地域の他チームに昇格されないように負けてほしい」と発言し、「オウンゴールで失点してほしい」「わざとPKを与える」などと具体的に指示した。

選手らが反発したままミーティングは終了した。その後、両日のミーティングに参加していたクラブ運営会社の社長が、「不正行為をしてほしいという意図ではない」と説明。「場合によっては負ける選択肢を打診したが、撤回して正々堂々戦おうと指示した」とする誓約書を選手らと交わした。ソニー仙台戦は0-1で敗れたものの、意図的な敗退行為は認められなかった。また、いわき、三重、FC大阪はいずれも最終節で敗れJ3昇格を逃した。

規律委の処分で鈴鹿はソニー仙台戦を0-3の敗戦とする没収試合とされ、罰金500万円を課された。また、幹部ら3人はいずれもサッカー関連活動を禁じられ、期間は意図的敗退を指示した元役員が2年、検討したオーナーが3カ月、社長が1カ月。また、鈴鹿は2月にJリーグから百年構想クラブの資格を停止されている。鈴鹿は意図的敗退行為を告発した元役員から〝口止め料〟とも取れる7500万円の支払いを求められ、2500万円の支払いに応じたことを認めるなど醜聞の闇は深い。

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