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ウクライナ侵攻、遺体映像の違和感

ウクライナ国旗
ウクライナ国旗

こんなことを書くと、「惨劇から目をそむけることを助長している」とお叱りを受けるかもしれない。しかし、ウクライナに侵攻したロシア軍が各地で民間人を殺害したことを伝える場面で、「ぼかし」が入っているとはいえ、多数の遺体が無残に破壊された市街地のあちこちに散乱している映像が当たり前のように地上波のテレビ画面に映し出されている状況に、違和感を覚えている。

われわれ大人ですら、1日のうちに何度も見させられると、なんとも言えない嫌な気分になる。ショッキングな映像の繰り返しが子供たちに与える影響はないのだろうか。そんなことを考えてしまう。

一部の番組では、「これから遺体の映像が流れます」といった事前のテロップで注意喚起が行われている。視聴者にチャンネルを変える時間的な余裕を与え、残酷な映像を見たくない人は見なければいいというスタンスだが、問題の本質はそこではない気がする。

確か平成23年の東日本大震災では、被災者の心情に配慮し、津波に人が飲み込まれる様子や遺体などの映像は、日本国内のテレビでは流されなかったように思う。NHKの「放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版」も「事件や事故、災害などでは、死者の尊厳や遺族の心情を傷つける遺体の映像は、原則として使用しない」と定めている。

一方で、同ガイドラインには「戦場やテロ現場の映像については、慎重に判断して扱いを決める。遺体の映像は、人間の尊厳や遺族などの感情も尊重し極めて慎重に扱う」との記述もあり、「事件や事故、災害など」と「戦場やテロ現場」を分けて考えている。この判断基準には、一理あるように思う。

ただ、問題の本質は、遺体の映像を流す必要性があるのかどうか、ではないだろうか。ニュース番組も情報バラエティーと称されるワイドショーも、こぞって遺体の映像を流すのはなぜか。なんのために遺体の映像を使うのか。そこは、突き詰めて考えるべきだと思う。(信)

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