米スタートアップ(新興企業)のベンチュリ・アストロラボが1960~70年代の「アポロ計画」以来となる米国の有人月面探査「アルテミス計画」での使用を想定した有人の月面探査車を開発した。小型のボディーながら、「月に人類の活動拠点を築く」という同計画の目的を達成できるよう、米ライトトラック並みの約1・5トンの資材運搬能力を備える。月面基地が置かれる南極のマイナス130度の寒さにも耐えられるなど、あらゆる環境・用途に対応した「万能型」の造りが売りだ。
試作機公開は初
宇宙飛行士が月面での移動に使用する有人探査車をめぐっては、米軍需大手ロッキード・マーチンと自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)のグループと、米軍需大手ノースロップ・グラマンなどのグループが開発計画を発表しているが、試作機をつくって映像を公開したのはアストロラボが初めて。日産自動車も今月、60年代に最初の有人探査車の試作機を製作するなど米航空宇宙局(NASA)と関係が深い米テレダイン・ブラウン・エンジニアリングなどと北米法人が組んで開発に乗り出す方針を明らかにしており、開発競争が加速している。
アストロラボは昨年12月に米カリフォルニア州にあるデスバレー国立公園で5日間にわたって実施した操作テストの様子を写真とビデオで公開した。テストは将来の月面基地で必要となるさまざまな活動を想定。複雑な地形の中で人による操作と遠隔操作で探査車を走行させたり、太陽電池を運搬・設置したりといった作業を試した。