仕事から交流の場、変わるオフィス 緊急事態発令2年

カフェのようなコクヨの東京品川オフィス(蕎麦谷里志撮影、画像の一部を加工しています)
カフェのようなコクヨの東京品川オフィス(蕎麦谷里志撮影、画像の一部を加工しています)

新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言が全国に出されてから16日で2年がたった。この間、大きく変化したのが働き方だ。テレワークが定着し、場所を選ばない働き方が一気に拡大。一方で課題も顕在化し、実際に顔を合わせる価値も見直され始めている。これまでは「仕事」をする場だったオフィスも、「交流」や「創造」「集中」など、目的を持って訪れる場へと変化し始めている。

「ここは心身を整えることをコンセプトにしたフロアです」。文具大手コクヨの東京品川オフィスを訪れると、おしゃれなカフェのような空間が広がり、ソファでゆったりとパソコンに向かう社員の姿があった。昨年2月にリニューアルしてからは、こうした光景が同社の日常になっている。

オフィス用品の販売や、空間デザインの提案も行う同社のビルはいわば〝実験棟〟だ。米国の法律事務所のような、広い机や個室を用意した「はかどる」をテーマにしたフロアなど、フロアごとにテーマを変えており、社員は目的や気分に合わせて、働く場所が選べるようになっている。

オフィス内に設置された無数のセンサーやカメラで社員の動きも分析可能だ。担当者によると「一番人気は個室など集中力が高まるエリアだ」という。自宅だと集中できない人が出社して利用しているとみられ、データ分析によって浮かび上がった、オフィスの新たなニーズだ。

新型コロナの発生直後は、自社ビルの売却が相次ぐなど、オフィス不要論までささやかれた。しかし、非対面の課題が顕在化する中で、見直す動きも出始めている。三菱地所が昨年6月に行った調査でも、働く人の約4割が同僚などとのコミュニケーションの低下を指摘。会社への帰属意識や事業推進力の低下を危惧する声も目立った。

そこで各社が模索するのが、非対面の課題を補完する新たなオフィスの姿だ。オフィスを「行かなければいけない場所」から、「行きたい場所」に変えようと取り組むのがパソナグループのパソナ・パナソニックビジネスサービスだ。同社はオフィスに自然環境を再現することで、居心地の良い空間に変える提案を行う。米大手ITなども取り入れている考え方で、視界の10~15%に緑が入り込むようにオフィスに植物を配置することで、集中力や発想力が向上する効果が期待できるという。

IT企業のアステリアは昨年10月にオフィスを移転・縮小した際、バーカウンターを設置。2人以上でAIカメラの前に立つと、社長の〝おごり〟でワインが飲める仕掛けを導入した。担当者は「オフィスでしかできない対面での会話を生み出す工夫で、新ビジネスの創出や、社員の交流につながれば」と話している。

(蕎麦谷里志)

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