ヒートポンプが地球を救うか CO2の排出量を削減すべく、欧米で普及が加速し始めた

もうひとつの選択肢は、住宅のオーナーが月額料金を払ってヒートポンプの設置と維持管理をサービス会社に依頼する「ヒート・アズ・ア・サービス(HaaS)」と呼ばれる仕組みの導入だ。こうしたサービスは欧州各地に登場し始めている。

「電話の料金プランのようなものです」と、REN21のギブは言う。「どこから見ても素晴らしい仕組みです。初期費用の負担から消費者を解放するだけでなく、燃料価格の変動に伴うリスクも軽減できるのですから」

つまり、地域の発電所が化石燃料による発電を続けているなかで燃料価格が高騰したとしても、各家庭の暖房費は何の影響も受けずに済む、ということなのだ。

増産に動き出した米国

次なる課題のひとつは、各地でサプライチェーンが停滞するなか、いかにヒートポンプを増産するかということだろう。ポンプの設置に必要な人手の確保の問題も出てくる。REN21のギブによると、英国は28年までに60万台のヒートポンプの設置を計画しているが、それには現在この作業の訓練を受けている人数よりはるかに多くの設置スタッフが必要になるという。

「熟練した作業員の数が全体的に不足しています」と、ギブは言う。「ガスボイラーの設置や設備の改良工事などを自社で手がける小規模の会社はたくさんありますが、それらの会社がヒートポンプの設置に関するノウハウを有しているとは限りません」

ヒートポンプの普及を加速させるには、その生産に拍車をかける必要もある。報道によると、バイデン政権は国防生産法の発動を検討しているという。ヒートポンプを大量生産することで欧州を支援し、ロシア産の化石燃料への依存を断ち切らせようとしているというのだ。

また、熟練の作業員にヒートポンプの設置技術を教える大規模なトレーニングプログラムの実施も検討されているという。子孫たちも、そして未来の地球も、この取り組みにはきっと感謝してくれることだろう。

(WIRED US/Translation by Mitsuko Saeki/Edit by Daisuke Takimoto)

会員限定記事会員サービス詳細