ヒートポンプが地球を救うか CO2の排出量を削減すべく、欧米で普及が加速し始めた

「ヒートポンプを動かすために石炭火力発電の電気を使ったとしても、なお大きな改善を図れるのです」と、再生可能エネルギーの推進団体である「REN21」で温暖化と建物に関する分析を担当するリードアナリストのダンカン・ギブは語る。「建物の熱効率化が急速に進んでヒートポンプが普及することで、失われるものなど何ひとつありません。政府はこのことをいますぐ真剣に検討すべきだと思います」

長期的には、当然ながら化石燃料ではなく再生可能エネルギーから生成された電力でヒートポンプを動かすことを考えるべきだろう。しかし、経済的な側面からはそう単純ではないのだ。

ヒートポンプの購入は一種の先行投資のような出費であり、暖房用ガスのような石油燃料のほうが安上がりであることに変わりはない。とはいえ、ソーラーパネルがそうであったように、ヒートポンプの人気が拡大するにつれ価格も落ち着いてくるだろう。そうなれば、いまより安くクリーンな方法で家を暖めたり冷やしたりできるようになるはずだと、ニューヨーク大学の気候経済学者のガーノット・ワグナーは語る。

ヒートポンプについてワグナーは“投資“のように位置づけた上で、「ソーラーパネルによく似ています」と語る。「初期費用はかなり高額です。以前よりかなり安いとはいえ費用がかかることは確かですが、いったん購入してしまえばその後は“ただで電気をつくる”ようなものなのです」

欧州ではヒートポンプの“サブスク”も注目

ヒートポンプの技術をもっと手軽に低所得層も利用できるようにするには、政府が税控除や高額の助成金給付などの対策を打ち出し、住宅やビルの所有者たちにヒートポンプへの転換を促す必要がある。本音を言えば、億万長者たちが本気で地球を救いたいと思っているなら、自ら金を出してすべての人がヒートポンプを使えるようにすればいいのだ。

一方で、ニューヨークやカリフォルニア州バークレーなどの都市ですでに実施されているように、行政当局が建物へのガス暖房システムの新規導入を禁止する手もある。「ガス管を遮断してヒートポンプを設置しよう、というわけです」と、ワグナーは言う。「快適な室内環境を実現できて、もっと住みやすい家になるのですから、迷う必要などありません」

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