ヒートポンプが地球を救うか CO2の排出量を削減すべく、欧米で普及が加速し始めた

地熱を利用するヒートポンプも注目

ここでヒートポンプの仕組みについて解説していこう。各国政府がヒートポンプを活用することでいかにCO2排出量を削減していくのか、また一般家庭が導入するにはどうすればいいのかについても説明する。

ヒートポンプが機能する原理は冷蔵庫と同じだ。冷蔵庫は外から冷たい空気を送り込むわけではなく、温かい空気を外に出すことで食品を冷やしている。冷蔵庫の外側を触ると温かく感じるのは、内部から熱が外に逃がされているからだ。

これと同じように、ヒートポンプは温かい空気を外に逃がすことによって、建物を冷やすこともできる。また冬には、どんなに冷たい外気からも熱を取り込んで屋内に送り込むという、いわば「逆冷蔵庫」のような仕組みで建物を暖める。このように簡単に説明したが、実際にはかなり複雑な工学技術だ。

「外気のほうが冷たい場合も、その冷たい空気から熱を集めて屋内に送り込んでいるのですと、空調機器メーカーでヒートポンプを手がけるTrane Technologiesの技術担当バイスプレジデントのランダル・ニュートンは説明する。「冷蔵庫はいつも冷えていますが、その『冷たい箱』が絶えずキッチンに熱を放出している原理と同じなのです」

家庭用のヒートポンプなら、自宅の裏庭の地熱を利用して稼働させることも可能だ。外気と熱を交換し合う代わりに、地中熱ヒートポンプは庭に埋めたプラスチック製パイプを使って地面そのものと熱をやり取りする。温泉地に住む必要はない。深さ4~5フィート(約1.5m)の地面の下は、年間を通してほぼ一定の温度に保たれているからだ。

「裏庭が“電池”になったようなものだと考えると、いちばんわかりやすいと思います」と、地中熱ヒートポンプを推奨する事業者団体「Geothermal Exchange Organization」会長のライアン・ドーティーは言う。「冬の間はその“熱電池”を使い、庭から簡単に集められるエネルギーで家の暖房をまかなえます。夏になれば、逆に家から熱を取り除いて電池に戻せばいいのです」

ヒートポンプの弱点は、よほど器用な人でもなければ自力で設置できないことだろう。空気と地熱のどちらを利用するタイプであっても、ヒートポンプの設置は従来型のエアコンほど難しくはないものの、専門の業者に依頼する必要がある。

ただし幸いなことに、ヒートポンプの設置はこれまでずっと空調設備会社が請け負ってくれている。地元の業者に見積もりを依頼するだけで、万事うまくいくはずだ。

“先行投資”としての重要性

導入コストは米国で4,000~8,000ドル(約49万~98万円)といったところだが、ヒートポンプの効率性を考えれば十分に元はとれるはずだ。ヒートポンプの消費電力は、電気だけで加熱する暖房器具の半分にすぎない。

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