FIGHT10 いきもの巡り

ハツカは国内最高齢のおじいちゃんアミメキリン 宇都宮動物園

今年で29歳になるハツカ(宇都宮動物園提供)
今年で29歳になるハツカ(宇都宮動物園提供)

宇都宮動物園のシンボルとなっているアミメキリンがやってきたのは昭和49年11月。アフリカから船で日本にやってきました。地方の小さな動物園がキリンを輸入するのは大変な出来事。経済的な負担以上に当時の飼育員の責任はかなり重かったことでしょう。

それから48年がたち、17頭のアミメキリンが誕生しました。そのすべてのお父さんがハツカとはすごくないですか! そんな元気な彼も今年で29歳。3月20日にお客さまと一緒に誕生日のお祝いしました。ほとんどの図鑑にはキリンの寿命は25年から30年と書かれているので、29歳になる彼は間違いなく長寿といえるでしょう。

日本動物園水族館協会に登録されているアミメキリンは58園で190頭。その中でハツカは日本一のおじいちゃんになりました。25歳以上のキリンの大半がメスなので、オスでこれだけ長生きしているのは珍しいかもしれません。最近は新型コロナウイルスの影響で営業に出られない日も続いているため、じっくりと「人も動物も年を取るとしわが増えるのだなあ」と思いながらハツカを観察しています。

話は変わりますが、キリンを漢字で書くと「麒麟」。15世紀にアフリカから中国に送られた動物の中にいた首の長い草食動物を気に入った永楽帝が「キリン」と呼んだところからきているそうです。ご存じの通り、「麒麟(きりん)」は実際には存在しない中国の霊獣で、平和の時代の象徴として現れるといわれています。今の時代こそ、早く姿を現してほしいですね。

さて話を戻します。私が動物園の仕事に就いて最初に立ち会った出産がハツカ。アフリカからやってきた花子は飲みたい時にオッパイをあげるなど、赤ちゃんをかわいがるとても子煩悩なお母さんでした。

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