【ロンドン=板東和正】ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、軍事的な中立を掲げてきた北欧のフィンランドとスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)の加盟申請に向けた検討を本格化させている。加盟が実現すれば、NATOはバルト海における防衛能力を飛躍的に高める見通しだ。これに対し、ロシア側はバルト海方面に核兵器を配備することを示唆しており、欧露間の対立が深まるのは避けられない。
ロシアと約1300キロの国境で接するフィンランドのトゥップライネン欧州問題相は15日、英スカイニューズ・テレビに対し、ウクライナ侵攻は「われわれ全員への警鐘だ」と述べ、「プーチン露大統領のロシアはもう信用できない」と非難。フィンランドのNATO加盟申請の「可能性は高い」との見方を示した。
フィンランド政府は議会での審議を経て加盟申請の是非を数週間以内に決める方針だ。ウクライナ侵攻で議員の大半は、NATOに加盟し集団防衛の恩恵を受けることの重要性を認識しており、政府は5月にも加盟を申請するとみられている。隣国スウェーデンも共同歩調をとり、6月下旬のNATO首脳会議までに加盟申請する可能性がある。