外務省「働き方改革」ピンチに ウクライナ対応で業務急増

外務省=東京都千代田区(鴨川一也撮影)
外務省=東京都千代田区(鴨川一也撮影)

ロシアのウクライナ侵攻が外務省の「働き方改革」に影を落としている。ただでさえ時差のある外国とのやり取りで「不夜城」となる役所だが、ウクライナ侵攻に伴う経済制裁や邦人保護などで業務が急増した。省内では海外の大使館から職員を呼び戻すなど苦しい対応を迫られている。

「ウクライナ情勢を見ても明らかなように、国際環境はかつてないスピードで変化している。外務省の仕事の仕方を抜本的に変え、世界の速い流れに対応していかなければならない」

林芳正外相は12日の記者会見でこう述べた。ウクライナ侵攻以降、外務省職員は激務が続き、特にロシアやウクライナを担当する欧州局の業務は膨大に上る。宇山秀樹欧州局長は3月8日の参院外交防衛委員会で「不眠不休でやっております!」と強調した。

中央省庁は法律で職員数の上限が決まっており簡単に人を増やせない。ウクライナを担当する中・東欧課は通常の約2倍の職員が集まっているが、職員を貸し出した部署にしわ寄せが生じるため、当面応援も入れ替え制でしのぐ方針だ。ただ、言語能力などで余人をもって替えがたい職員が多忙なことに変わりはない。

平成30年5月には河野太郎外相(当時)が過労死ラインの月80時間を超える月200時間以上の超過勤務者が「ざらにいる」と嘆いた。その後、デジタル化など業務合理化が進み、月200時間以上の超過勤務者は大幅に減少したという。

そもそも働き方改革と有事対応の両立は難しい。外交機密を扱うため在宅勤務のハードルは高く、国会対応やオンラインの国際会議で深夜残業が当たり前となる。人事院規則では国家公務員の超過勤務は月100時間未満となっているが、国会対応や外交交渉など多くの業務は「特例」として例外だ。外務省の担当者は「3月の超過勤務は大幅に増えているのではないか」と語る。

長時間労働の常態化は若手職員の早期離職や学生の「官僚離れ」を招きかねない。ウクライナ危機は日本外交を支える基盤強化の必要性も浮き彫りにしている。(石崎直人)

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