「コンパクトシティー復興」で現新激突 宮城・山元町長選

山元町役場の新庁舎。令和元年5月に業務を始めた=宮城県山元町(徳光一輝撮影)
山元町役場の新庁舎。令和元年5月に業務を始めた=宮城県山元町(徳光一輝撮影)

任期満了に伴う宮城県山元町長選が告示され、平成23年の東日本大震災からの復興まちづくりをめぐって現新2氏が激突している。「コンパクトシティー構想」による復興を推し進めた現職に対し、新人の元町議は町のコンパクト化によって周辺部が取り残されているとして、政策転換を訴えている。

12日告示の町長選に立候補したのは、届け出順にいずれも無所属で、4選を目指す現職の斎藤俊夫氏(73)=公明推薦=と、新人の元町議、橋元伸一氏(61)。

争点は復興まちづくりのあり方。県庁出身で震災の前年に初当選した斎藤氏は、復興政策に「コンパクトシティー構想」を掲げ、沿岸部の被災10集落を内陸に造成した3つの新市街地へ集約。JR常磐線と2つの駅も5年9カ月かけて新市街地へ移設した。

だが、その間に、仙台市のベッドタウンとして常磐線で通勤、通学していた町民は次々と町を離れ、人口は震災前の1万6608人から先月末は1万1909人に。減少率28%は宮城県女川、南三陸両町に次ぎ、被災3県で突出している。

一方で、斎藤町政は「子育てするなら山元町」と、新婚移住世帯や18歳までの子育て移住世帯へ最大370万円を補助。常磐線の再開後は、転入者が転出者を上回る「社会増」が続いている。

斎藤氏はこうした3期12年の実績を強調、「人口減少が駆け足で進む中、停滞、後退は許されない」と復興の完遂を訴える。

対する橋元氏は、かつて沿岸部を走っていた常磐線の駅前で、祖父が始めた商店を継ぎ、津波で父親を亡くした。現町政の復興政策への疑問から27年、町議に立候補。2期目の途中で今回の町長選へ打って出た。

橋元氏は「新市街地への一極集中が進み、沿岸部や丘陵部が取り残されている」と町全体のバランスのとれた復興を訴える。

町のコンパクト化の結果、新市街地には復興住宅が立ち並び、スーパーもできた。その一方で、太平洋を望む沿岸部は震災から11年が過ぎた現在、空き地や太陽光パネルが目立つ。両候補の訴え通り、復興は終わっていない。

町長選のほかに町議補選(欠員1)も行われ、ともに無所属新人の品堀栄洋(よしひろ)氏(55)と平井隆章氏(59)の2人が立候補している。いずれも投開票は17日。選挙人名簿登録者数は今月11日時点で1万500人。

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