主張

日露サケマス交渉 権益確保へ毅然と対処を

日本とロシアが北海道周辺にいるサケ・マスの漁獲量を協議する漁業交渉が11日から、ウェブ会議形式で始まった。

日本がロシアのウクライナ侵略に経済制裁を科し、ロシアが日本を「非友好国」に指定するという異例の状況下で行われる交渉である。ロシアの出方次第では協議が難航することもあり得よう。

大事なことは日本の漁業権益をしっかりと確保することだ。

例年ならば毎年行われる交渉の妥結を受けて4月10日からサケ・マス漁が解禁される。だが今年は交渉開始が遅れたため、地元の漁業者はいまだに出漁できないままだ。政府は当然、漁業者の苦境を打開しなくてはならない。

ただし、ロシア側への安易な妥協や譲歩は禁物である。ロシアがこの機に乗じて日本に不利を強いようとすれば、決然と交渉を打ち切る覚悟で臨んでほしい。

そのためにも政府は、漁業者の資金面などへの支援に万全を尽くすべきだ。妥結に時間を要する場合も含めて、交渉の遅れで生じた被害に適切な手立てを講じることは政府がなすべき責務である。

交渉対象はロシアの川で生まれたサケ・マスだ。国連海洋法条約に基づき、ロシアの川で生まれたサケなどの漁獲権は日本の排他的経済水域(EEZ)内でもロシアが有する。日本が漁獲するにはロシア側との協議が必要である。

1985年から毎年、春先に行われる交渉がまとまらなかったことはない。昨年は、日本のEEZ内での漁獲量を2050トンとすることを決めた。合意には漁獲実績に応じて3億円前後をロシア側に支払う漁業協力費もある。

日本国内で流通するサケ・マスは、チリやノルウェーなどからの輸入のほか、日本の川で生まれたものが多く、対露交渉で得られる漁獲量はわずかだ。それでも地元漁業者の漁業経営に及ぼす影響の大きさには十分な配慮がいる。

ここ数年、2050トンが続いている漁獲量を不当に減らそうとしたり、漁業協力費を大きく上げようとしたりする動きをロシアがみせないか、警戒すべきだ。

ロシアとの間では、年末に向けてサンマやスルメイカなどの相互入漁を協議するといった交渉もある。今回の交渉で毅然(きぜん)とした姿勢を貫けるかどうかは、他交渉での権益確保にも影響しかねないことを十分に認識しておきたい。

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