iPS創薬のALS治験、第2段階へ 京大

人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用する「iPS創薬」で京都大チームが発見し、基礎段階の臨床試験(治験)で安全性や一定の効果を確認した、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の治療薬候補「ボスチニブ」について、同大は15日、実用化に向けて効果をさらに詳しく調べる第2段階の治験を開始したと発表した。

対象は、発症後2年以内など条件を満たす軽度の患者25人。北里大病院(相模原市)や鳥取大病院(鳥取県)などで早ければ7月ごろから、1日1回、24週間にわたり経口投与する。安全性確認が主目的の基礎段階は12人を対象に3カ月間だったが、対象も期間も拡大して有効性や適切な投与法、投与量などを詳しく調べ、早期の実用化を目指す。

計画を指揮する京大の井上治久教授は「薬の開発は時間がかかるものだが、科学の力でできるかぎり早く開発を進め、患者さんに届けたい」と話した。

チームはALS患者の細胞から作製したiPS細胞を使い、病気を起こす神経細胞を体外で再現。約1500種の既存薬などを投与して効果を調べることで、白血病の既存薬、ボスチニブが治療薬候補であることを平成29年に解明した。31年に基礎段階の治験を始め、治験を最後まで完了した9人のうち5人で病状の進行を止める効果が確認できたと昨秋発表していた。

ALSは、脳や脊髄の神経細胞に異常なタンパク質が蓄積するなどして発症する。国内患者数は約9千人で根本的な治療法はない。そのため、数多くの既存薬などの効果を効率的に確認できるiPS創薬は、治療薬候補探索の有効な手段となっており、米ハーバード大や慶応大がこの方法で別のALS治療薬候補を発見。それぞれ第2段階の治験を既に実施している。

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