遺族「怒りしかない」 熊谷6人殺害で賠償請求棄却

請求が棄却され、記者会見に臨む遺族の加藤裕希さん(右から2人目)ら=15日午後、埼玉県庁(深津響撮影)
請求が棄却され、記者会見に臨む遺族の加藤裕希さん(右から2人目)ら=15日午後、埼玉県庁(深津響撮影)

埼玉県熊谷市での男女6人殺害事件をめぐり、さいたま地裁が15日、妻子3人が殺されたのは県警の情報周知が不十分だったためとして県に損害賠償を求めた加藤裕希さん(49)の請求を棄却した。判決を受けて記者会見に臨んだ加藤さんは「怒りしかない」と声を絞り出し、控訴する意向を表明して「気持ちを切り替えてやっていきたい」と前を向いた。

加藤さんはこの日、黒いスーツ姿でさいたま地裁に入り、請求棄却を告げる言葉に聞き入った。

判決などによると、ナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者(36)=無期懲役が確定=は平成27年9月13日、任意同行先の熊谷署から逃走し、14~16日、加藤さんの妻の美和子さん=当時(41)=と娘の美咲さん=同(10)、春花さん=同(7)=ら男女6人を殺害。加藤さんは、逃走を防災無線などで周知しなかった県警の対応が警察権の不行使に当たると主張していた。

加藤さんは記者会見で、県警の情報提供方法や内容に違法性はなかったとした判決への不満をあらわにし「つらさと怒りで、まだ、判決理由の全てを読むことができていない」と明かした。

会見に同席した高橋正人弁護士も、違法性を否定した判決を非難した。

加藤さんは「3人にかける言葉は『ごめん』しか見つからない。控訴して、またひと踏ん張りやっていきたい」と自身に言い聞かせるように語った。(深津響)

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