政府、北核実験なら制裁強化…限界も ミサイル訓練再開

「太陽節」を迎え、故金日成主席(左)と故金正日総書記の銅像が立つ万寿台創作社に献花に訪れた市民ら=15日、平壌(共同)
「太陽節」を迎え、故金日成主席(左)と故金正日総書記の銅像が立つ万寿台創作社に献花に訪れた市民ら=15日、平壌(共同)

北朝鮮が7回目の核実験に踏み切るとの観測が広がり、日本政府が警戒を強めている。仮に核実験を行った場合はさらなる制裁措置を取る方針だ。政府はこれまでも国際社会と協調して制裁を実施してきたが、北朝鮮は核・ミサイル開発を継続し、決め手を欠いたまま情勢は悪化している。

「引き続き必要な情報の収集、分析および警戒監視に全力を挙げていく」

松野博一官房長官は15日の記者会見で、北朝鮮が故金日成(キム・イルソン)主席の生誕110年の節目に核実験を行うとの見方があることについて問われ、こう説明した。北朝鮮の弾道ミサイル発射を想定した住民避難訓練を再開することも明らかにした。

外務省幹部は「核実験とミサイルは次元が違う。ステージが変わる」と強調する。政府は北朝鮮が核実験を行った場合は制裁を強化する方針で、資産凍結の対象拡大などを検討している。

これまで、日本は平成18年の核実験を受けた国連安全保障理事会の制裁決議などに基づき、核・ミサイル開発に関与する人物らの入国を禁止し、資産も凍結した。石炭などの資源のほか、海産物といった幅広い物品の輸入を禁止して外貨獲得を防ぎ、兵器や精密機械の輸出も禁じた。洋上で石油などの規制物資を移し替えて密輸する「瀬取り」の防止にも取り組む。

日本独自の制裁として北朝鮮籍の人物の入国の原則禁止や、北朝鮮に寄港した第三国籍船舶の入港禁止などの措置も取っている。

一方、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は安保理決議と日本独自制裁の双方で資産凍結の対象とされていない。日朝関係筋は「残された制裁の切り札だ」と語る。

ただ、北朝鮮は新型コロナウイルス禍による国境封鎖で貿易収入が途絶える中、金融機関のハッキングを実行。国連安保理の専門家パネルの分析で2019~20年に3億ドル超に相当する仮想通貨を奪ったとされる。

また、国境を接する中国やロシアが制裁に非協力的で、制裁効果は限定的との指摘もある。政府関係者は「制裁の実効力を高める取り組みは試練にさらされている」と打ち明ける。(中村昌史)

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