主張

露の戦争犯罪 証拠突きつけ責任を問え

ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のブチャなどで、住民の遺体が多数、路上で見つかった。東部マリウポリでは、産科病院や劇場など都市が徹底的に破壊された。

殺害の目撃証言は生々しく、悲痛である。民間人の殺害や性暴力、略奪は国際法違反の戦争犯罪であり、断じて容認できない。

バイデン米大統領は「ジェノサイド(集団殺害)」に当たるとの認識を初めて示した。特定の民族や宗教を標的としたジェノサイドはさらに深刻な罪である。

こうした点を明確にするためにも、ロシアの戦争犯罪の客観的な証拠を集めることが重要だ。誰が指示し、いかに実行されたかを明かし、関与したもの全ての責任を問わなければならない。

ロシア側は、遺体の映像や写真はウクライナ側の作り物だと主張するが、動かぬ証拠を突き付けてその口を封じる必要がある。

「法の支配」は国際社会の安定と繁栄の礎である。ロシアによるウクライナ侵略は、これに真っ向から挑戦するものだ。

だからこそ国際社会は、ロシア軍の残虐行為を徹底的に調べ、その責任を確実に問うことで「法の支配」を貫かねばならない。

違法行為、非人道的行為は絶対に許さないとのメッセージは、ロシアのみならず、新疆ウイグル自治区での「ジェノサイド」が指摘される中国にも大きな圧力となるはずだ。

ロシア軍による戦争犯罪をめぐる調査は、ウクライナ検察当局や国際機関が着手している。欧州安保協力機構(OSCE)は、マリウポリの産科病院と劇場への攻撃を「戦争犯罪」と断定する報告書を公表した。国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官はブチャを訪れ、「ウクライナは犯罪現場だ」と訴えた。

岸田文雄首相も8日の記者会見で、「ICC検察官による戦争犯罪の捜査を後押ししていく」と表明した。政府は現地に検察官を派遣する方針だ。資金面だけでなく人的貢献も進めてほしい。

ロシアのプーチン大統領を法廷に引きずり出すにはいくつものハードルがある。最大の懸念は、プーチン氏が戦争犯罪人である事実が、情報統制下のロシア国民に十分伝わらないことである。国際社会は調査と同時に、ロシア国内への周知にも知恵を絞るべきだ。

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