「原発避難」で初の最高裁弁論 夏にも統一判断

東京電力福島第1原発事故で千葉県内に避難した住民らが国に損害賠償を求めた訴訟で、原告と国から意見を聞く上告審弁論が15日、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)で開かれ、結審した。判決期日は後日指定される。各地で起こされた同種の集団訴訟で初の最高裁弁論。国の責任の有無について2審の結論が分かれた福島、群馬、愛媛の3訴訟も4~5月に弁論が予定されており、今夏にも最高裁が統一判断を示す見通し。

一連の訴訟では、国が東電に安全対策を取らせる「規制権限」があったか▽巨大津波を予見し、事故を回避できた可能性はあったか▽国がとった事前の対策は合理的なものだったか-などが主な争点。

国と東電を相手取り平成25年に起こされた千葉訴訟は、1審千葉地裁が東電のみに賠償を命じ国の責任を否定した一方、2審東京高裁は国と東電の責任を認めた。最高裁は今年3月、東電の上告を退け、東電の賠償命令は確定した。

この日の弁論で原告側は、平成14年に政府の地震調査研究推進本部が公表した、巨大津波の可能性を示唆した地震予測「長期評価」について「信頼性があり、対策に取り入れるべきだった」などと指摘。

防水扉の設置など、浸水しないようにする「水密化」対策を建屋などに施せば電源喪失の事態は防げたとした上で、「事故回避のための規制は国にしかなしえない重大な責務だ」と訴えた。

原告の一人で、福島県浪江町に住んでいた小丸(おまる)哲也さん(91)も法廷で陳述。「先祖代々の家も田畑も山林も汚染され、人生をかけて築き上げてきたものをすべて失った。納得できる判決が下されることを願う」などと思いを語った。

これに対し国側は「長期評価の見解は当時、専門家の間で原子力規制に取り入れるべき精度・確度を備えたものと認められていなかった」と主張。「仮に国が規制権限を行使し防潮堤を設置したとしても、敷地の浸水による事故を防ぐのは不可能だった」として、2審結論の見直しを求めた。

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