ウクライナ避難民は貴重な「人材」 日本は積極活用を

アベル・ポレーゼさん
アベル・ポレーゼさん

ロシアの侵攻でウクライナからの出国を余儀なくされた避難民の受け入れが日本でも広がりつつある。入国者数は400人を超えたが、彼らの生活環境の整備などでは手探りの対応が続く。ウクライナ社会の研究を手がけ、自身も侵攻で避難を強いられたイタリア出身の社会学者、アベル・ポレーゼさん(45)は産経新聞のオンライン取材に、日本社会は高い技能や労働意欲を持つウクライナ人避難民らを「人材」として積極的に受け入れ、地域振興などに活用すべきだと訴えた。

ポレーゼさんはウクライナなど旧ソ連地域の社会研究を手がけ、日本でも立命館大学で客員協力研究員を務めた経験を持つ。現在はアイルランドやエストニアの大学で教壇に立つ。

ポレーゼさんは露軍が侵攻した2月24日にウクライナの首都キーウ(キエフ)に滞在しており、ウクライナ人の元妻の家族や子供らと約3日間かけて隣国ルーマニアに脱出した。多くの避難民は突然の侵攻で「(海外で)医療や保険サービスなどを受ける証明書類なども準備できないまま脱出を余儀なくされていた」と話し、欧州でも生活は決して容易ではないと語る。

ポレーゼさんは、日本は「世界で最も安全な社会のひとつ」と語り、戦火に追われた人々にとっては「故郷以上に快適になりうるだろう」と述べて、避難民の受け入れ先として優れた特性があるとの見方を示す。

そのうえでウクライナ人の多くは「労働経験が豊富で英語力やIT技術を持つ人も少なくない。性格も謙虚で、日本語の学習もいとわないだろう」として、日本社会は彼らを「有能な人材」として、積極的に受け入れるべきだと語った。

具体的な受け入れ手法については「自身の技能を通じて日本社会に貢献する」ことを前提に、「日本語・文化を学ぶ1年間の学習コースの提供と、労働可能な3年間の査証(ビザ)の発給」を行うことを提案。「まず半年間で5千~1万人程度を受け入れて、進捗(しんちょく)を精査すればよいのではないか」と語った。

ポレーゼさんはまた、避難民らが希望することを前提に、彼らを過疎地で積極的に受け入れる「イナカ・プロジェクト」も提案する。ウクライナ人の多くは「自然を愛し、優れたガーデニングの技術を持つ」とし、家屋なども提供すれば、人口が減少する地方の活性化にもつながるとの考えを示した。(黒川信雄)

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