体操・リオ五輪金の田中佑、家族とリスタート

オンラインで取材に応じた田中佑典。所属先を田中体操クラブに変更して活動していく
オンラインで取材に応じた田中佑典。所属先を田中体操クラブに変更して活動していく

2016年リオデジャネイロ五輪体操男子団体総合金メダルの田中佑典(32)が再スタートを切った。今月、10年間在籍したコナミスポーツを退団し、兄の和仁氏が代表を務め、姉の理恵さんも関わる「田中体操クラブ」(横浜市)に所属を変更。「まだ自分が表現できる体操があると思う。競技以外の活動の幅も広げていきたい」。家族のサポートを受けながら、新たな形で現役を続けていく。

田中は当初、「競技は東京五輪まで」と考えていた。だが、終わってみると情熱は枯れていなかった。「十分やってきたし、周りにもそう言われるけど、まだ『やりきった』と言えない」。緩急の利いた美しい演技を再び多くの人に見てもらえるよう、昨年10月、痛めていた右肩の手術に踏み切った。

そして、「ただ競技だけやっていてはいけないのではないか、という気持ちが強くなってきた。兄が田中体操クラブを始めたのも刺激になった。僕にしかできないことがもっとある」と感じ、より活動しやすい環境を求めて所属先を変えた。

同クラブでは「特別コーチ」として不定期に指導に入ったり、イベントに参加したりするほか、体操の魅力発信などを模索していくという。

22日の全日本種目別選手権トライアウトの平行棒と鉄棒が今季の初戦だ。現在は和仁氏らにコーチに付いてもらい、同クラブと同じ横浜市内の日体大で練習を重ねている。

ただ、年齢とともに痛む部位が増え、対応が難しくなっていることは確か。日本代表には18年世界選手権を最後に入れていない。

32歳。金メダリストの現役晩年は、どうあるべきだと捉えているのか-。

「プレッシャーがないことはない。(周囲は金メダリストに対して)夢があってほしいと思っていると思う。どう色を重ねられるか。考えるところですね。競技と普及活動の両立は難しいだろうけど、僕自身が、子供たちや若い選手が前に進む力になれたらいい。体で表現し、言葉も乗せていきたい」

競技者として自らに残された時間が長くないと自覚しているからこそ、その思いは強い。(宝田将志)

■たなか・ゆうすけ 和歌山市出身。順大卒。2012年ロンドン五輪に兄の和仁、姉の理恵とともに3きょうだいそろって出場した。14年世界選手権の個人総合で3位に入るなど世界大会で計7個のメダルを獲得。21年6月の全日本種目別選手権は得意の平行棒で優勝した。

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