都内11区が今年90歳 記念事業は温度差も

足立区役所
足立区役所

東京都内23区のうち、足立区や板橋区など半数近い11区が今年10月、区制施行による誕生から90年の節目を迎える。区によってはロゴを作ったり、9をキーワードに商店街での消費喚起策を展開したりと、多彩な記念事業を予定している。一方、新型コロナウイルス禍や、100周年の手前の90年は中途半端だとして記念事業を見送る区もあり、自治体の〝卒寿〟をめぐる対応には温度差があるようだ。

90周年を迎えるのは、足立▽板橋▽杉並▽目黒▽世田谷▽渋谷▽中野▽豊島▽荒川▽葛飾▽江戸川-の11区。昭和7年に当時の東京市が、周辺の自治体を編入した際に設置されたのがはじまりとされる。

足立区は90という数字にちなんで、4月から区内の複数の登録店で900円以上の買い物を9回してレシートを集めれば、商店街などで使える商品券2千円分と交換できるキャンペーンを始めた。交換は1人1回まで。区の担当者は「地元での交流を通じて90周年を祝ってもらうとともに、コロナ禍で打撃を受けた区内経済の活性化も図りたい」と話す。

板橋区は「いたばし未来パレット」と名付けた記念ロゴを制作し、今年度中に約30の記念事業を実施する方針だ。10月1日の記念式典のほか、区の歩みを振り返る記念誌を発行する。夏の花火大会では、特別な仕掛けを施した〝卒寿〟花火を打ち上げる予定という。

杉並区は記念事業の一環として、「ふるさと・杉並」をイメージした曲を制定し、区の記念式典やコンサートで演奏する。また、都内最大の阿波踊り「東京高円寺阿波おどり」など区を語る上で欠かせない歴史を学べるデジタル教材を作り、小学校の授業で活用する方針だ。

一方、中野区は記念事業を実施しない構えで、目黒区と葛飾区は取り組みについて「検討中」としている。ある区の幹部は「90周年を祝いたい気持ちはあるが、コロナ禍の今、記念事業に力を入れ過ぎても区民に理解してもらえないだろう」と漏らす。

実際、区によっては、記念事業費の膨らみを指摘する声もすでに出ている。

例えば杉並区では、関連事業費が計約7500万円に上り、80周年と比べて約3倍に増えた。区議会の一部からは「中途半端な節目に使い過ぎだ」と支出額の大きさを疑問視する声も出ている。区側は「90周年の取り組みは、100周年に向けたスタートダッシュでもある。今回出来上がった成果物は今後も活用していくので、ご理解いただきたい」と説明している。

(竹之内秀介)

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