大手電力、法人契約一部停止 市場価格高騰で採算厳しく

大手電力会社の間で、企業など法人向け電力プランの契約受け付けを一部停止する動きが相次いでいる。ロシアのウクライナ侵攻などによるエネルギー価格の上昇に伴い、発電された電気を売買する卸電力市場の取引価格が高騰し、供給力を追加調達すると採算が厳しくなるためだ。電力小売り事業に新規参入した新電力から電気料金の値上げなどを打診された法人が契約先の変更を検討する動きが急増する一方、受け皿の大手電力がニーズに応じきれない事態となっている。

「今後の燃料情勢が不透明で、追加的な供給力の確保を見通すことがなかなか難しい。1年を通じて適正な価格での供給を約束できる状況ではないということだ。(電力)小売り事業者として、断腸の思いだ」

四国電力の長井啓介社長は15日の記者会見でこう述べた。四国電は法人向けプランで3月下旬から、新電力など別の電力小売り事業者からの契約切り替えの受け付けを停止している。

東北電力や北陸電力、九州電力も同様に、契約切り替えの受け付けを停止。関西電力は4月から法人向けプランの新規契約を事実上停止した。中国電力も法人向けプランについては「新たな顧客からの契約の申し出を受けるのが難しい状況」という。

原油や天然ガスなどエネルギー価格の高騰に伴う電力調達コストの増大に苦しむ新電力から値上げや解約を提示された法人が、契約先を大手電力に切り替えたいという相談や要望は急増している。ただ、大手電力にとっては想定外の需要で、対応するには取引価格が高止まりしている卸電力市場から供給力を追加調達する必要がある。「市場価格を踏まえると、顧客にメリットのある提案ができない」(北陸電)という事情が、受け付けの一部停止が広がっている要因だ。

一方、どの電力小売り事業者とも契約が成立しない場合に備えたセーフティーネットとして「最終保障供給」と呼ばれる仕組みがあり、主に法人向けであれば大手電力の送配電部門に供給義務が課せられている。

最終保障供給の料金は標準メニューの約1・2倍と割高だが、足元では市場価格の高騰を背景にこの料金よりも高いプランしか法人に提示できない「逆転現象」も起きている。電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)は15日の会見で「状況を変えないといけない」と述べた。(森田晶宏)

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