東南アジアを中心に生息する絶滅危惧種のサル「ベニガオザル」の雄は、血縁がない雄とも協力関係を築き群れを作って雌を囲い込み、繁殖の成功度を高めていると、中部大などのチームが国際専門誌に発表した。血縁に関係なく協力的な行動をするのは、ヒト以外では珍しいとしている。
中部大に所属する豊田有・日本学術振興会特別研究員(霊長類学)は「繁殖活動は他の雄と共有するのが難しいとされる。どのような基準で協力相手を選んでいるか調べていきたい」と話した。雄同士が協力する場合は血縁関係があるのが一般的だという。
チームは2015~17年、タイの野生動物保護区の群れ計約400匹を観察。特定の雄が単独で交尾を独占する群れが2つと、2~4匹の雄が協力して他の雄が雌に近づかないよう見張る群れが3つあることが分かった。大人の雌の数はいずれの群れも数十匹だった。
独占する場合、1匹の雄が群れの雌の42~50%と交尾したのに対し、協力した場合は、70~84%の雌がいずれかの雄と交尾していた。