京都市京セラ美術館で開催中の「兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~」(産経新聞社など主催)。注目の展示品を5回にわたって紹介します。第4回は「彩色歩兵俑」です。
彩色歩兵俑
咸陽にある前漢の高祖、劉邦の陪葬墓(君主のそばに家来を埋葬した墓所)の陪葬坑から1965年に、歩兵俑1900件余りが出土した。この歩兵俑はその一体である。
サイズは等身大の秦の兵馬俑に比べて高さ50センチほどと小さい。左手には盾、右手には戟(げき=刺したり、ひっかけて切る機能を備えた柄のついた武具)を持っていたはずだが、腐ってもう残されてはいない。
被葬者は、北魏の書物から高祖に丞相として仕えた周勃(しゅうぼつ)とその子、亜夫とされている。周勃は漢王朝の樹立に貢献、劉邦の死後、呂太后の一族と戦い、文帝の擁立に力を尽くした。その子、亜夫もまた、景帝のときに起きた呉楚七国の内乱から中央政権を守る。
この兵士は功臣の親子の死後を守るというより、葬儀に参列した軍隊を表すとされる。(正木利和)
開催概要
日中国交正常化50周年記念 兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~
会期:2022年5月22日(日)まで
会場:京都市京セラ美術館 本館北回廊2階(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
公式ホームページ:https://heibayou2022-23.jp/
公式Twitter:@heibayou2022_23